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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-34
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 まるで新婚と思いきや、いきなり付き合い始めのような雰囲気を出したりして疲れるばかりである。こんなのにはかかわりたくない。それが蓮の偽りなき本心だった。
 おにぎりをほおばる一夏を見て顔を少し赤くしながら微笑む箒。まるでというよりはまさに新婚そのものだ。あれを二人とも無自覚でやっているのだからたちが悪い。


「……はあ」


 疲れたような溜息が蓮の口から洩れる。思うことはただ一つ。
 このおにぎりが束が作ったものじゃなくて箒が作ったものだったら、あの二人はもう夫婦であるのに。


 ◯


「あー今日も疲れたなあ」


 そう言って湯船につかるのは一夏。
 かなり広い風呂場だから一緒に入ろうと一夏に提案されてそれを了承したのがさっき。
 広い湯船を二人で独占している。そんな寛ぎのひとときに一夏はまた昼間の話を持ち出した。


「午前中の続きなんだけどさ、どうして見袰衣は俺の方が強いって思うんだ?」
「あ? ああ、だってお前はいつも誰かのために戦っているだろ? 自分のことは後回しで他人を優先しているじゃないか」
「……ん? そんなことないと思うけど」
「そんなことあるんだよ。例えばクラス代表決定戦の時とかだな」


 そう、あの時一夏はセシリアと戦った時に自分の単一能力(ワンオフ・アビリティー)が姉である千冬と同じものであると分かると、それを汚さない様に守ってみせると断言しているのだ。
 上げれば他にも見つかるだろうが、今すぐに思いつくのがそれだった。


「あっ、あれはほらその場の勢いで……」


 そう言い訳するのを流して体を伸ばす蓮。ワタワタとする一夏をおかしいと思いながらお湯に身を委ねる。


 今日も平和に過ぎていった。蓮の実家掃除は明日の午前中には終わる。そしたら海に行こう。
 そう頭の片隅で考えながら今日一日の疲れを癒していく。


 ちなみに昼に続いて夜も束がご飯を作った。みんなから大絶賛されて少し嬉しそうにしている束と、その陰で体の一部が残念な少女が打ちひしがれていたのが印象的だった。
 それが誰なのかは言うまでもないだろう……






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