1部分:第一章
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」
健三も彼の言葉に頷く。
「体育祭の後でな。打ち上げでな」
「それしようと思っていたのにな。何であの先生はそれを認めてくれないんだか」
「だから校則だろ」
健三はさっき今日子に言われたことをそのまま忠直に言ってきた。
「それのせいで駄目だって今言われたじゃないか」
「校長先生の許可はもらったぜ」
こっちは上手くいった。今の校長先生はかなり鷹揚な性格で彼等の申し出を笑顔で受け入れたのである。他には担任の先生の許可ももらった。ところがここで副担任の許可も必要だったのだ。その副担任が他ならぬ今日子であったというわけなのだ。
「それでも校則が駄目か」
「どうするんだ、それで」
健三はあらためて忠直に問うてきた。
「諦めてどっかでやるか?教室なら大丈夫だろ」
「いや」
だが彼はその言葉に首を振る。
「屋上だ。屋上っていったら屋上なんだよ」
彼もかなり我儘であった。
「そこでしないと駄目だろ。青空の下で楽しくやらないとな」
「御前も随分こだわるんだな」
「男はこだわりの生き物なんだぜ」
彼は居直ったように言ってきた。
「それを忘れたら男じゃない。そう言うだろ」
「そんな話は聞いたことがないがな」
健三は少し冷静に言葉を返した。
「時には妥協も必要だって言われることがあってもな」
「男は妥協なんかしねえ」
それでも忠直は引かない。引くことを知らない。それはさながら闘牛場の牛のようであった。いつも最後はマタドールに倒されてステーキにされる牛であった。
「何があってもな」
「そうか。それはわかった」
健三もそれには根負けして頷くのだった。
「しかし神宮よ」
「何だよ、今度は」
「御前カードとか弱いだろ」
不意にこう問うてきたのだった。
「実際のところ。それはどうだ?」
「あまり勝った記憶はないな」
そして自分でもそれを認める。
「特に最近は。何でそんな話するんだ?」
「いや、何となくわかったからな」
今の話でである。
「そうだろうな、やっぱり」
「何でそこで納得するんだよ」
「御前のその性格からだよ」
健三はこう言葉を返す。
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