42話
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ー保健室ー
「・・・・」
楯無は目の前で静かに、というか死んでいるように眠る青年をみる。
「全く、どうしようもない人ね、貴方って」
溜息をつきながら彼の髪をすっと撫でる。
すると微かに反応をしてすぐに元に戻る、こんなやり取りをここ2日間していた。謎のゴーレム襲来、そして彼の謎の力による殲滅。謎が謎を呼ぶなんて皮肉にも程があると思うが、今回の件は彼の多大な功績がなかったら死者も出ていた、大げさかもしれないが重症者は出るだろうと思っていたが彼の力により無傷(生徒を)で守りきったということ、それでも凄いことだがさらに仲間を助けつつ敵を全て倒しきった所が偉業と呼んでもおかしくなかった。これだけみれば良い結果と呼べるが彼がこうして自分の身を犠牲にした結果などとても理想的ではないし、逆に私から言えば最悪だった、というのが楯無の素直な感想だった。彼を守れなかった。あまつさえ、身を呈して守られたという事実がさらに悔しかった。自分に与えられた楯無という名、たとえ守る盾が無かろうと守りきる。それが楯無の名を背負う者の責任。今まで自信という盾で抑えつけていた重責が心に重くのしかかる。
そうどんどんネガティブ思考に陥る楯無だが何か彼が呟いていたのでうなだれていた頭を上げ、彼の顔を見ると驚愕した。
「・・・った。・・・れなかった。守れなかった・・・」
そう呟き涙を流していた。
すると無意識に彼の手を握りしめていたことに気づく。
そして自分の感情が一気に焦って、彼がどうすれば悲しまなくなるのか考えることでいっぱいになった。だが言葉を口にすることしか方法が見つからないので必死に語りかける。
「・・・大丈夫よ。貴方は守りきったのよ。だから、泣かないで・・・」
そう手を握りしめて語りかけているとまた彼は元の表情に戻ると心の中に安心感が広がった。
「・・・ってなんでこんなことで一喜一憂してるのかしらね、私は」
自嘲気味に笑うが、半分は気づいていた。彼に恋心を抱いていること。だが自分が周りから受けることはたくさんあったけれど、まさか自分がなると思わなかったし、なっても平気だろうと。そんなことを思っていた自分を叱咤したかった。今はもう彼のことで頭がいっぱいで、彼が早く目覚めてほしい。そのことでずっと悩み続けていた。
「・・・・ん」
「・・・あ」
そうして二日間彼を待ち続け、彼が何事もないように今日、目覚めた。一瞬気を取られたがすぐに嬉しい気持ちで彼に声をかける。
「・・おはよう、泰人くん」
ずっと悩み続けていたことなど消え去り、もうこんなことが起きないよう頑張ろう、そう思えるくらい今の楯無は自信にあふれていた。
俺は目をゆっ
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