6部分:第六章
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第六章
「スタープラチナはプリクラも一杯あるしそれも撮ってね」
「プリクラも」
「二人で撮りましょう」
彩夏と二人でという意味だった。今の香里奈の言葉の意味は。
「それでいいかしら」
「じゃあ」
ここでやっと頷くことができた彩夏だった。こうして香里奈と和解できて再び皆と一緒になれた彼女はこの日から変わったのだった。もう誰かに何も考えずに言うことはなくなった。そして気遣いも覚えたのだった。そんな彼女に対して慶が言うのだった。
「痛み。わかったよな」
「ええ」
ある日の昼休みの屋上でのことだった。二人はそこで話すのだった。そこで彩夏は彼の言葉に応えていた。
「よく。こんなものだったなんて」
「わかったらいいんだよ」
少し偉そうだがこう返す慶だった。
「それでな」
「香里奈。凄く傷付いていたのね」
「御前もな。そうだったよな」
「ええ。今までわからなかったけれど」
「わかったらいいさ。カラオケ楽しいだろ」
「とてもね」
屋上からの風景を見ながら返した言葉だった。そうしてそのうえで言うのだった。周りの風景は実に美しい。そこから学校全体が見えていて街の遠くまで見えていた。
「一人よりもずっと」
「そういうものだよ。一人は嫌だったよな」
「耐えられなかったわ。もう本当に」
「そして痛かったよな」
ここでまたこう言う慶だった。
「わかったらもうあんなことは言わないでしないことだな」
「わかったわ。他の人のこともわかってね」
「そうしな」
「ええ。あんたの金髪も」
ここで彼の方を見る。そうしての言葉だった。
「あの時は御免なさい」
「いいんだよ。髪の毛のことはな」
こう返すだけの慶だった。
「別にな」
「いいの」
「俺は怒っただけで傷付いていないしな」
だからいいというのであった。
「傷は痛い。それだけわかってくれたらな」
「それでいいの」
「誰だって痛いんだよ」
ここで慶は上を見上げた。そうしてそのうえで彩夏に言うのだった。
「けれどそれがわかるかわからないかで全然違うんだよ」
「そうね。とてもね」
「そういうことだよ。じゃあな」
「何処行くの?」
「図書室に行って来る。借りた本返さないとな」
「そう。だからなのね」
「トルストイな」
それを借りているというのである。
「それ返すから」
「そうなの。トルストイなの」
「御前も読んでみるといいさ。一度な」
「そうしてみるわ。今度」
そう言って彩夏も屋上から去ろうとする。その時また慶が問うのだった。
「何処行くんだ?」
「香里奈達のところ」
仲直りを果たせた彼女のところだというのだ。
「ちょっとね。今度の日曜皆と一緒にテーマパーク行くから」
「じゃあ行けばいいさ。楽しくやれよ」
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