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Element Magic Trinity
貴方の人生に幸あれと
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「そうだな……行くか、幽鬼の支配者(ファントムロード)に」
「……はいっ!」
「という訳だ。案内は頼んだぞ、ガジル」
「お願い致します、ガジル様」
「……仕方ねえな、とりあえず列車乗るぞ」









懐かしい夢を見た。それを夢だと断言出来るのは、もう2度とあの光景の中にいる事が出来ないと解っているからだろうか。
僅かに揺れる飛行船の中、魔法で動いているからか振動は少ない。割り当てられた部屋のベッドに寝転んだまま、掲げた左手の甲を見る。普段は指貫きグローブで隠れたその場所には、渦を巻くような黒い紋章。
自分で消すと言って、結局消せていないそれを右人差し指でなぞる。もうこの紋章を刻んでいる魔導士はきっといない。

「……滑稽だ、本当に」

どこまで行っても、どこに行きついても命令される事は共通で。
それが何より馬鹿げた事だと解っているのに逃げ出さないのは、そんな自分自身すらも馬鹿だからか。それとも―――ほんの少しだけ、期待でもしているのか。彼女なら止めてくれる、彼女なら……。

「……全く」

そんな役割を、ようやく掴んだ平穏の中で暮らす彼女に押し付けてはいけない。
何度も繰り返した思考をまた繰り返して、黒尽くめの青年は瞼を下ろした。
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