4部分:第四章
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第四章
彩夏はクラスで完全に孤立してしまった。女の子はおろか男連中も声をかけようとしなくなった。完全に一人になってしまったのだ。
「何でよ」
それがどうしてかわからない彼女は戸惑っていた。
「何で皆私を避けるのよ」
わからないまま言うのだった。
「何もなく。どうしてなのよ」
彼女はわからないまま呟いた。その彼女を慶は黙って見ていた。この時はそれだけだった。
誰からも相手にされなくなった彩夏は言葉が少なくなった。誰とも話すことがないからそうなってしまうことも当然のことであった。
自然と暗くなり俯いてしまうようになった。無視され相手にされず暗くなっていく一方であった。そのうち全く喋らなくなってしまった。
しかし心の中では思うのだった。どうして皆が自分を無視するようになってしまったのか。だがそのことがどうしてもわからないのだった。
「何でよ」
一人になるといつも思うのだった。
「何で皆。こんな」
こう呟いて俯くばかりであった。目の光も弱いものになり表情もそうなっていった。そんなある日一人食堂で昼食のうどんを食べている彼女の前にある人間が来た。
「ここ空いてるか」
「え、ええ」
久し振りに誰かから声をかけられたので戸惑ったがそれでも言葉を返した。
「空いてるけれど」
「そうか。じゃあ座るな」
「ええ」
こう言って座ってきたのは何と慶だった。彼が前に座ったのである。
その手に持っているプラスチックの盆の上にはカレーとラーメンがあった。それぞれ白い湯気と香りを立ててそれだけで美味そうな雰囲気を出していた。
彼は彩夏の前に座りまずは箸を手に取ってラーメンを食べだした。そしてその中で言うのだった。
「辛いか?」
「えっ・・・・・・」
「今。辛いか」
こう問うてきたのであった。
「どうなんだ、それは」
「辛い」
一言であった。箸も止まりそのうえで出した言葉だった。
「今辛い。もうこんな状態が続くのなんて嫌」
「そうだよな。誰だって嫌なんだよ」
彼もまた食べるその手を止めて言うのであった。
「そうやって傷付くのはな」
「傷付く・・・・・・」
「御前がな、泣かせた谷崎だってな」
「香里奈が」
「あいつだって同じなんだよ」
こう話すのだった。
「傷付いたんだよ」
「傷付いた・・・・・・」
「御前の何気ない一言で傷付いたんだよ」
また言う慶だった。
「それあの時泣いて教室を飛び出たんだよ」
「そうだったの」
「それで傷付けた御前に皆怒ってるんだよ」
彼は言葉を続ける。食べずにだ。
「だから皆無視しているんだよ」
「そうだったの。それで」
「やっちまったことは返らないさ」
このことも話すのだった。
「けれどな。御前が思うところがあるんなら
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