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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第45話 結末
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 絶句した。
 体内に潜り込む針は、瞬く間にジャックの身体全体にまで蝕んでいったからだ。

『……アカーシャ!!』

 だが、ジャックは叫んだ。
 アカーシャの性格であれば、立ち止まるだろう。そして、助けようとするだろう事は理解できたから。

『……来るな。行けッ!』
『…うん』

 それは、口に出していない。心で通じた。


 アカーシャは、攻撃の全てをジャックが一手に引き受けてくれた為、モカの前に行く事ができた。

 手にしているのは、封印の十字架(ロザリオ)。モカの真祖の妖力が、アルカードを引きつけているのだ。だから、モカを離す為に、その妖力を封じる為に、モカの首に、架けて封印の儀を行った。






『へ………、ざまぁ、見やがれ』

 ジャックは、安堵していた。
 妖力を失ったモカは、アルカードにとっては食料の価値がない。いや、寧ろ突如消失した妖力に驚いている様子だった。

『さ、て……、後はオレ、か……』

 体内に蝕んでいく触手。無数の触手は《雷の力自然神(ロギア)》を纏っている己の身体。雷と一体化した、といっていい身体に入り込んでいた。

『成る、程……。吸魔(ドレイン)か……吸血鬼ならでは、だな……。血の変わりに魔力、妖力を、吸う、か……』

 身体の髄にまで、妖力を溜めて全てを解放するつもりだったのだが、それすら吸収されてしまう。魔を失えば、肉体は直ぐに殺られてしまうだろう。


「ジャック! モカは、もう大丈夫! あなたも……っっ!?」


 全てを終えて、気を失ったモカを抱えていたアカーシャは、……信じられないものを、いや 信じたくないものを見てしまった。

 徐々に、アルカード本体に喰われようとしているジャックの姿だ。

『……来るな。アカーシャ』

 ジャックは、そう言うが、アカーシャが止まる筈がない。

「さ、させないっっ!!!」

 強行突入をしようとしているが、ジャック自身の魔力、妖力を吸収し、力を付けた周囲の本体の力は先程の比ではない。アカーシャだけではない。モカにまで及ぶかもしれないのだ。

『馬鹿野郎。……母親だったら、子供の心配だけをしていればいいんだよ。……それに、こいつは おれの、せい……だ。オレ自身がケリをつける』

 ジャックがそういったと同時にだった。

 アカーシャの前に、突然何かが現れた。そう、あの時(・・・)の、目に見えない壁。優しい光を纏った……壁。

「な、や、やめて!!! おねがい、おねがい! ジャックっっ!!」

 見えない壁を何度も叩きつけるアカーシャ。
 200年前は、何も出来なかった。ただただ、見るだけで何も出来なかった。もう二度と、あんな思いをする
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