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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第45話 結末
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った。


――あの約束を無かった事にする。無かった事に出来る可能性を。



「っ……、じゃ、ジャック……さん……」

 暫く亞亜愛はジャックが向かった方を見つめていた。

 確かに、モカと一緒にいた期間は、短い。いや 殆ど一瞬だった。だけど、それなのに、彼の言葉には深い愛情があった。それを感じ取る事ができた。

 それは、アカーシャにも負けていない愛情、だった。














 アカーシャは迫りくる触手を蹴りで次々破砕していった。
 ジャックと亞愛がある程度引き受けてくれている筈なのだが、それでも無限にすら感じる触手の数は減らない。いや、減ると言う概念すら無いかの様だった。

「(数が、……多すぎる!)」

 まるで、壁の様だった。無数の触手の壁が、隔てるせいで、モカに近付ずにいたのだ。

「い いや… お母さんッ…」

 触手で足止めをしている内に、アルカードがモカの拘束を強めながらゆっくりと後退していった。

「(まずい…アルカードがモカを連れて逃げてしまうっ…)」

 モカにもある真祖の妖力。それは、アルカードにとって格好の餌だ。力をつける、戻す為に モカを欲したのだ。……つまり、モカを完全に連れ去られてしまえば、全てが終わる。

「させるかッ!!!」

 アカーシャは、もう触手を全て無視する勢いで、全てを打ち破る勢いで、1点に力を集中させながら、 モカの方へ飛び出した。


 その瞬間、壁の形状をしていた筈の触手が、変化した。まるで、無数の針のような触手が飛び出してきたのだ。

「(くっ こんなの相手にしてたら間に合わない……!)」

 壁と感じた触手が、細かく分かれ、尋常じゃない程の針の数になっている。防ぐ事も出来なければ、時間を駆ける事もできない。そして、あの針に1本でも貫かれたら、瞬く間に体内に侵入され、犯されてしまうだろう事も理解できた。

 理解できたが、アカーシャのする事は変わらない。連れ去られていくモカをみて覚悟を決めたのだ。
 例え、己の命を差し出してでも、モカを助ける為に。

 だが、それを赦さない者がいた。


――そんな覚悟はしなくていい。


 また、聞こえてきた。
 後ろから、優しい声。力強い声が。

「ジャックッ!!」

 ジャックは、あとほんの数寸程まで迫っていた無数の針から庇ったのだ。




 無数の針の触手の前で仁王立ちする。そう、あの時(・・・)のアカーシャの様に。

 時間にして、0.1秒を切る程の凝縮された時間だったが、アカーシャには、長く、異常なまでに長く感じ……、そして 無数の針がジャックの体を貫いた。

「じゃ、ジャックぅぅぅっ!!
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