第2話 出現
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2個セットかな、1人頭3個になりそう」
変な計算をして自分の取り分を主張する。
そう思ったが。
「でもこの子が目を覚ましたら2個余りますわよ」
12÷4=3……余なし
12÷5=2……余2 取り分マイナス1かつ2個余る
「残りの2個は殴り合いで決着か……」
「な、なんでこっち見ているんですかぁ!?」
初春目掛けてシャドーボクシングをかます佐天。
冗談はさておき
4人は、意識の戻らぬ少年を見た。
燃えるような赤い髪に華奢な身体をした少年が静かに横たわっている。
「それにしても、あんまし見たことない子よね?髪は黒子に近いかな」
「まぁ!お姉様、私の方が艶やかで綺麗ですわよ」
左腕で片方のツインテールを掻き上げるように白井は言う。
「うーん、この服装も珍しいものですよ。どこかで売ってたのかな」
佐天は、珍しいものでも観察するかのように、少年の顔をプ二プ二と突いてみるが反応は得られない。佐天はさらに少年の腕を捲り上げて細い腕を露わにした。
「うわあ、この子すごく痩せてますよ。それに傷がたくさん」
外套から露出した腕を持ち上げて、4人の前に突き出す。
サソリには、人傀儡になるために自分の身体に改造を施した過去があった。その痕が鮮明に人間の身体になっても残り続けていた。
「お腹の方も激しい裂傷がありましたよ」
「お、初春も中々見ているじゃん」
「ち、違いますよ!お医者さんが見ている時にちょっとだけチラ見したというか……佐天さん何を言わせるんですか」
「虐待でも受けてたのかしら?」
4人が一様に黙った。唯の傷跡ではないことは少年の身体を見れば明確だった。虐待だったとしても激しい裂傷の物々しさはたじろぐ程だ。殴られてできる傷ではなく刃物による鋭利な傷跡。虐待だとすれば包丁かそれに近い刃先で切り付けられる稀にみる残虐さと云えよう。
「……」佐天が黙ったまま白く細い腕を握る。関節部分の丸く切り抜かれたような裂傷を静かになぞっていると。
赤髪の少年は,自分の身体から発せられる妙な感触に微睡ながら眼をパチパチと軽く開けたり、閉じたりを繰り返す。
「何してんだ、てめえら?」
少年は意識を回復させ、眠たそうな目で4人を視界に収めると、手を握っている佐天から強引に腕を離した。瞳は髪とは違い茶色だ。
「あ、意識が戻ったみたいね。名前は分かる?」
御坂は内心ホッとしながらも、少年に名前を訪ねてみる。名前が分かれば身元分かりそうだと踏んだのだ。
「…………」
あからさまに警戒心むき出しの少年は、仏頂面で腕を組んで寝転がったままだ。
そして「ここはどこの里だ?」と逆に聞き返してきた。
里?
よっぽどの田舎から来たのか。これは全員思ったこと。
サソリは辺りを見渡しこの場所と祖母との決戦場からの整合性を考えるが、
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