前編 重力戦線異状なし
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かべて、
「大丈夫! 私に任せなよ。絶対みんなを連れて帰ってくるから」
パンパン、とほほを両手で叩く。
久々の大仕事に、石のように重い頭が冴えてきたような気がした。
「お! その意気その意気」
先ほどまでの暗い雰囲気はどこへやら、シドーが声の調子を上げた。
「やっぱり、我らが重力姫に暗い顔は似合わないよ。今回も礼はたんまりはずむぜ」
「別にお礼とかもういいよ?」
「そう言ってもらえるのはありがたいけどさ、助けてもらってばっかってのも大人としてどうかと思うんだよねー」
それにしても、とシドーは言葉をつづける。
「ネヴィ退治を頼まれて元気になるって、こういうのって何て言うんだっけ? バーサーカー?」
「はぁ!? それが乙女にかける言葉? 信じらんないっ!」
机上の紙束を掴み投げつける。
舞い上がったそれらは、まるで白い花びらのようだった。
ヘキサヴィルの街並みは、横よりも縦に、より細かく言えば上へ上へと発展してきた。
巨柱に巻き付くように存在している都合上、横に大きくなりすぎるとてこの原理が働いて根元から折れてしまうからだ。
……もちろん、前例があるわけではないけど。
その関係で、街は上層ほど富裕層が多く、下層になるにつれて土地は安くなり、貧困層が増えてくる。
上層と下層とで住む人種とニーズが変わってくるから、街は層により多様な顔を見せる。
その唯一の例外が、工業地区インダストリエだった。
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