第二百三十八話 幕府その八
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「だからな」
「それで、ですな」
「遅れた時は済まぬ」
待つことは出来ないというのだ。
「その様にな」
「では」
こうした話もしてだった、信長は東本願寺を発ってだった。安土に戻った。同行した顕如は遅れず安土に来た、その彼を見てだった。
羽柴は少し驚いてだ、こうしたことを言った。
「いや、これはよきことでありますな」
「それは何故ですかな」
「顕如殿がおられれば」
まさにというのだ。
「百人力です」
「拙僧は何もしませぬが」
「それでもです、顕如殿はです」
それこそというのだ。
「その法力で」
「あの者達をですか」
「退けられますので」
それ故にとうのだ。
「有り難いです」
「そう言って頂けるのなら」
顕如も微笑んで羽柴に応えた、そして連れて来た子達や側近達に顔を向けてそのうえで述べたのだった。
「我等は我等のすべきことをな」
「しましょう」
「是非共」
「そういうことでな」
こう話してだ、そしてだった。
顕如達本願寺の者達は用意された部屋に入りだ、信長は家臣と大名達に話した。
「兵の用意はもうじゃな」
「はい、間もなくです」
長谷川が信長に答えた。
「整います」
「そうか、ではな」
「それが整えば」
「出陣じゃ」
こうはっきりと言うのだった。
「よいな」
「わかりました、それでは」
「皆も来るのじゃ、伊賀の百地の里を完全に囲み」
そのうえでというのだ。
「攻めるぞ」
「では伊賀において」
「魔界衆の者達を討ちましょうぞ」
「そして天下の禍根を断つ」
「ここで完全に」
「そうするぞ」
こう強く言ってだ、そしてだった。
信長は出陣準備の話をしてからだ、彼等にこうも言った。
「そして三家置きたい」
「三家?」
「三家といいますと」
「それは一体」
「どの家でしょうか」
「奇妙の下の三介、三七、於勝にじゃ」
信長の子達でそれぞれ信忠の弟達だ。
「直系に何かあった時にじゃ」
「そのお三方のお家からですか」
「将軍を出す様にする」
「そうされますか」
「うむ」
その通りだというのだ。
「そうするとしよう」
「ですか、そこまでお考えですか」
「将軍位のことも」
「そこまで」
「そうじゃ、ではな」
それならというのだ。
「そう決めておくぞ、三人にはそれぞれ相応しい領地と城を与える」
こうも言うのだった。
「わかったな」
「はい、それでは」
「そうします」
「我等も」
その三人もいて父の言葉に応える、このことも決めた。信長はここで三人の家のことを家臣達にこう述べた。
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