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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十一話 二重スパイ
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内乱か……。これからコーヒーがますます苦くなるな……。
「地球に送っていた諜報員が戻ってくる」
「何時かな」
「あと二週間もすればオーディンに着くだろう」
エーリッヒとギュンターがチラっと視線を交わした。
「地球に送り込んだ諜報員は三人。今回戻って来るのは一人だけだ。彼らには、地球教徒がキュンメル事件に関与した事を教えてある。たまたま関与した人物が地球教徒だったのか、それとも地球教が教団として関与しているのか、それを確認するようにと命じてある」
「……」
エーリッヒもギュンターも無言だ。ただ表情は厳しい。こちらをじっと見ている。
「彼からの連絡では詳細はオーディンに戻ってから報告するが特に地球教に不審な点は無かったと言っている。そして他の二人はまだ残って調査を続けていると……」
エーリッヒがまたギュンターと視線を交わした。
「問題は無いと?」
「そうだ」
「後の二人はまだ残って調査している?」
「そうだ」
エーリッヒが眉を寄せて考え込んでいる。
「……どう思う、ギュンター。取り込まれたかな」
「おそらく……、後の二人は情報源としてこちらの情報を搾り取られている、そんなところだろうな。得るべき情報が無くなればこっちへ帰すだろう、二重スパイとしてな……」
「こちらもその可能性が高い、そう見ている」
エーリッヒが大きく息を吐いた。
「申し訳ない、卿の心配が現実になってしまったようだ」
「いや、止めなかったのは私だ。私はその危険性が高いと知っていてそれの実行を許した。責任は私に有る」
俺の言葉にエーリッヒが首を横に振った。いかんな、またこいつに荷を背負わせてしまう。
「地球に送った三人だが広域捜査局第六課の最高責任者が私だと知っているかな」
「正直、分からない。知っていた可能性は否定できない」
俺の言葉にエーリッヒが頷いた。
「知らない可能性も有る、そういう事かな、アントン」
「そう思うがこの場合知っていたと考えた方が良い、卿の身が危険だ」
エーリッヒが溜息を吐いた。いかんな、ますますこいつに負担をかけてしまう……。身が縮む思いだ。
「私じゃない、ルーゲ司法尚書の身辺警護が要る、早急にだ」
なるほど、そっちが有ったか。広域捜査局は司法尚書の管轄下だった。
「卿の言うとおりだ、早急に警備を付けよう。卿にも……」
「私の方は大丈夫だ。すでに憲兵隊が付いている」
「そうか」
ギュンターが任せろと言うように頷いた。
「それで、他には」
「俺とアンスバッハ准将はこの際彼を利用してみようかと考えている」
「……」
「今現在、広域捜査局第六課はオーディンの地球教の支部を監視している。彼からは地球教に不審な点は無かったと報告が有った。だから支部の監視を解こうかと思っているん
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