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【銀桜】9.たまクエ篇
第1話「外見は髪型と目のパーツで判断できる」
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。ましてや、自分の都合で記憶(データ)を消したり、他人の意見も無視するような奴を『友達』と思う人などいるわけがない。
「双葉様?」
 呼ばれて振り向くと、少し困惑したようなたまの顔があった。物思いにふけるあまり、ついほったらかしにしてしまっていた。
「すまない。適当に過ごしているよ。好きな場所に行ったりとか」
「好きな場所?」
 首を傾げて言葉を繰り返すたまに、双葉は何気なく思い浮かんだアドバイスを送った。
「ああ。好きな場所で過ごすのも楽しみの一つだからな」
 主に自分が行く所はピザ屋と――ぐらいだが、この機械(からくり)にそんな場所があるのかいささか疑問だ。
 しかし双葉の予想に反して、たまはすぐに答えてきた。
「それならあります。双葉様、一緒に来て頂けませんか」
「……別にかまわんが」
 少女の表情が少しだけ明るくなったように見えた。
 そんなたまに内心戸惑いつつも、双葉は頷いた。

* * *

 空き地で町の子供たちが曇り顔でたたずんでいた。
 特に嫌な事があったわけじゃない。ただ退屈だったのだ。
 みんなで遊んでいたお店のゲーム機も壊れてしまい、他の遊びも飽きてしまった。
 つまらない。
「ああ!お姉ちゃんだ!」
 遠くを指差す一人の男の子の嬉しそうな声が飛ぶ。
 すると空き地の子供たちははしゃいで緑髪の少女に駆け寄った。


 さっきの暗い空気はどこへやら。
 子供たちのにぎやかな声と楽しそうな顔が空き地いっぱいに広がる。
「お姉ちゃん遊ぼ!」
「またモグラ叩きごっごやろう!」
「グルグルして〜」
「僕と遊ぼうよ〜」
「皆様、一緒に遊びましょう」
 そう言ってたまはワラワラと集まって来た町の子供たちに微笑んだ。
 にぎやかな声はいっそう騒がしくなり、それにつれてたまの口元も緩んでいく。
 そして飛びついて来る男の子や女の子を抱えて、楽しそうに子供たちとはしゃぐたまは満面の笑みを浮かべた。
 それは機械(からくり)とは思えない、普通の少女と変わらない、とても純粋な笑顔だった。
 人知れず双葉は暖かい笑みを浮かべる彼女に驚いていた。
 それまで人形のように凍った表情しか見たことがなかったからだ。
 一瞬、別人かと思った。

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「双葉様も一緒に遊びましょう」
 にこやかに笑うたまに手を握られ、呆然としていた双葉は子供たちの輪の中に入った。
 そこには、彼女の好きな『笑顔』がたくさん溢れていた。
 ただ言うまでもなく、双葉は社交的な性格じゃない。
 子供とふれ合うのは慣れていない。
 自然と無表情にとげとげしい言動をとってしまう。
 しかし双葉の無愛想な態度は照れ隠しにしか見られず、無邪気な子供たちは彼女とも親しげに遊んでき
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