第十八話「知らぬが仏?」※修正
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。
――もしかして……
徐々に冷静を取り戻していく一夏は、夜景を楽しむ比奈をそっと見つめた。
観覧車を降り、一夏と比奈は停車してあるバイクの元へ向かった。
「さて、帰るか?」
「うん! 今日はとても面白かったよ? 本当に……ありがとう」
「また、行こうな?」
一夏は単車を走らせて彼女の里へ帰っていった。
*
バイクが里に辿り着いたときには、既に辺りは暗かった。田舎は、都会とは違って明かりの数が本当に少ない。都会とは違ってやや寂しさを感じさせた。
そのまま一夏は彼女の自宅までバイクを走らせ、そこで降りる。
「式神……今からちょと付き合ってもらいたいんだけど、いいかな?」
バイクを下りた途端、真剣な眼差しで彼女を見ると、比奈もそれに緊張した表情を取る。
「え、どうしたの?」
「こんなに暗くなってしまっているのに、申し訳ないが……ついてきてほしい」
「……いいよ? でも、どこへ?」
「確かめたいことさ?」
「……」
懐中電灯で辺りを照らし、一夏は彼女の手を引く。
――……一夏ちゃん、どこへ連れてくんだろ?
気になる比奈は、一夏の後に黙ってついて行く。今の彼らの間には謎の沈黙が走っていた。
一夏は、彼女の手を握ったままある山道へ出向く。暗く不気味な道筋に比奈は怖くなって一夏の腕に抱き付きながら歩いた。
――こ、怖いよ……どこなのここ?
徐々に不安が募りつつあり、今すぐにでも帰りたかったが、一夏の頼みなら断ることができなかった。そして、山道を登って出たのは、ある広場だった。そこは……
「し、篠ノ之神社?」
そう、先ほど歩いていた場所は篠ノ之神社の境内へ繋がる裏口の道だった。
「よく、箒に見つからないよう二人で裏山から境内へ忍び込んだよな?」
と、懐かし気に言う一夏に比奈は目を大きくさせる。
「い、一夏ちゃん! どうしてそれを……?」
「ついてきてくれ?」
さらに、一夏は比奈を手を引くとさらに境内の奥へと向かう。そして、もう一つの裏口を見つけた。そこは、上の山道への入り口である。
「ここって……」
比奈は、もうわかっていた。そして、もう迷うことなく一夏と共に上の山道を歩く。
「……ここの展望台で、よく祭りの花火を見たな?」
そこは、展望台へ通じていた。展望台の屋根の下にあるベンチに二人より添って座り、ふたたびメガロポリスの夜景を見下ろした。
「思いだしたの……?」
比奈は恐る恐る尋ねた。
「……何となく、ある女の子と一緒に毎年ここで花火を見ていた」
「……」
「そして……花火が終わるまで俺たちはいつまでもここで一緒に身を寄せあいながら座っていた。そうだろ……? 比奈」
「一夏ちゃん……!」
比奈は、泣きそうな顔をしていた。そんな彼女を見て一夏が慌てだす。
「な、泣くなって? 明日は帰
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