非日常的な日常
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「ちょっと、姫羅!?」
「ごめん凛ちゃん。私学校に行くね!」
窓から差し込む光から察するに、もう時間はお昼を通り越して終業間際のはず。
今から走れば今日の授業を受けるのは無理だとしても、夜間部の登校時間には余裕で間に合うはずだ。
この時間に寝間着姿で部屋にいるという事は、凛ちゃんは私のためにわざわざ学校まで休んでくれたのだろう。心配掛けて申し訳ないという気持ちが、ちくりと胸を刺した。
脱ぎ捨てた寝間着を床に散乱させたまま、まだ着慣れない黒主学園の制服に袖を通す。
きゅっと襟首のリボンを締めて、昨日暴漢に弾き飛ばされたボタンの留守を誤魔化した。
「……ねえ、姫羅!」
呼び掛ける凛ちゃんの声を余所に、私は風紀委員の腕章を掴むと焦りながら腕に装着する。
最後に自分の姿を鏡の前で確認して――うん!と意気込むと、部屋のドアを開けた。
飛び出す寸前に凛ちゃんを振り返り、顔の前で両手を合わせる。
「ごめんね、凛ちゃん!近いうちに埋め合わせするからッ!」
凛音からの返答も待たずに、姫羅は踵を返すと勢い良く【陽の寮】を飛び出した――。
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