風紀委員の職務
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「……俺はいいけど、あんたこそ大丈夫か?」
呆れたような面持ちで澪が姫羅の体勢を指差す。
――やばい。スカート!
はたと自分の体勢に気付いた姫羅は慌てて立ち上がり、下半身に付着した葉っぱを掌で払う。
そのやり取りを見ながら、樹里愛が麗しげに微笑んだ。
「ふふ……お転婆さんね」
樹里愛に笑われると余計に恥ずかしい。
あはは、と笑い返して返答を濁し、先を急ぐべく正面に向き直った姫羅だったが――目の前の光景に唖然とする。
「え……」
生い茂る木、木、木。森林の間を割くように石畳の道が前方に果てなく続いている。
時間の経過もあってかその道筋は薄暗く、先に進むのを躊躇してしまう。
助けを求めるように背後の澪を振り返ると、姉を連れ添って彼は先に進もうとしていた……が、ふと姫羅の顔を見やる。
「怖いなら帰ってもいいけど」
「ええ?」
「……夜は【月の寮】周辺の見張りがあるから、今帰ったら夜中に一人でここ通る羽目になるけどな」
「――それだけは遠慮しとく」
言いながら先を進む澪の背中を慌てて追い掛ける。
不自然さを感じさせない程度に澪に接近し、周囲の木々が放つ威圧感に怯えながらも先に進む風紀委員の姿を見て、樹里愛は密かに目を細めた――。
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