十二話:昔話
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在はやてとアインスがチェスを行っていた。
と、言ってもほとんどその場凌ぎの考えしかできないアインスと先の先まで読むはやてでは一方的な展開となりはやての圧勝に終わった。
机に突っ伏してしくしくと泣くアインスにはやては若干呆れ交じりに指摘する。
「そうは言われても……」
「どうしたんだい、アインス。そんなに落ち込んで」
「切嗣!」
そこに店の奥で在庫の整理を行っていた切嗣がひょっこりと顔を出す。
アインスは味方ができたと思ったのかガバリと起き上がり助けを求める。
二人から事情を聴いた切嗣はなるほどと頷く。
「確かにそれは速すぎるね」
「切嗣ぅ〜!」
まさかの裏切りに切嗣の肩を掴んでカクカクと揺らすアインスに切嗣は苦笑いを返す。
しかし、途中で何かに気づいたのかパッと顔を輝かす。
何事かと首をひねる切嗣とはやてにアインスは告げる。
「切嗣も主と勝負すれば私を馬鹿にできないはずだ」
「別に馬鹿にしてるわけじゃないんだけどね……」
「まあ、まあ、アインスがああ言っとるんやしやろうか。休憩時間はまだあるし」
頬を膨らませて怒っているアインスに困ったように頬を掻く切嗣。
アインスの提案に面白そうに乗るはやて。
そういったこともありあっという間に決定してしまう。
「まあ、やるのは構わないんだけど。一ついいかなアインス?」
「何だい、切嗣?」
「うん。やるのは構わないけど―――別に、勝ってしまっても構わないよね」
「ほ、ほんまに勝ちよった……普通は負けフラグやろ、あれ」
「ははは、まだまだ娘には負けられないからね」
「切嗣…切嗣は私の味方だと思っていたのに……」
「アインス、そんな裏切られたって顔をされるとちょっと傷つくんだけど」
勝負の結果は接戦になった末に切嗣の勝利だった。
だと言うのに、アインスは裏切られたという顔をして切嗣を可愛らしく睨む。
若干ショックを受ける切嗣だったが持ち直して一つ咳をする。
「まあ、読み合いだとはやての方が上なのは確かだけどね」
「なら、どうして勝ったんだ?」
「それは……経験かな。結局は盤上も戦場だからね」
一瞬陰のある顔をする切嗣だったがすぐに笑顔に戻る。
その為かはやてもアインスも何も気づくことはない。
「まあ、僕としては落とし穴を作ったり、相手陣営の後ろ側から攻撃できないのが不満だけど」
「おとん、これチェスや」
「そもそも反逆が起きないのはおかしくないかい?」
「おとんはチェスに一体何を求めとるん?」
やたらとリアリティを求めだす養父に呆れながら時計を見ると時間が来ていたので慌てて動き出す。
アインスと切嗣も店に戻る準備を始める。
しかし、先にはやて
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