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八神家の養父切嗣
十二話:昔話
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していた。そして悲劇が起きた」

 あの事件の凄惨さを思い出したのか僅かに眉を顰めるグレアム。
 彼は許せないのだ。もっと早く異変に気付かなかった自分に。
 民間人を守るための管理局員だというのに誰一人救えなかったという後悔が今も残る。
 しかし、どれだけ後悔しようとも過去は変えられない。
 老兵にできることはせめて再発しないように伝えていくことだけだ。

「吸血鬼やグールの伝承は知っているかい、はやて君?」
「はい。そういった伝説の生き物の本も読んでますし」
「ああ、はやて君は読書が好きだからね。だが、それの元になるものが実在したことは知っているかい?」
「え?」

 驚いて目を見開くはやて。彼女自身は本の中から家族が現れたり、魔法少女になったりと色々と非常識なことをやっているという自覚がある。
 しかしながら、未知の世界からのものではない、自分の世界にもあったというのは驚きだ。
 特に、この世界には魔法技術がないと言われていたのも響いた。

「でも、魔法文明は地球にはないんやないんですか?」
「ああ、確かに“文明”はないね。ただ、私もはやて君もなのは君もみんな地球生まれだ」
「んー……つまり、私達みたいなんが昔にもおったってことですか?」
「その通り。文明自体はないが魔法を使える個人は確かに存在する。つまり、文明がないことイコール、技術がなかったということにはならないんだよ」

 そう言われてみて妙に納得するはやて。歴史物や伝承物も読んでいるはやてではあるが、そういったものは魔法でもないと説明できないものが多々ある。
 例えば日本で奇跡を起こしたとして有名な天草四郎。
 彼は呪文を唱えただけで鳥を動けなくした、海の上を歩いたなどと言われている。
 魔法を知る前のはやてならばそれは何らかのマジックだと断じていただろう。
 しかし、魔法の存在がある知った今となればデマだと断じることはできない。
 両方とも魔法であればそれほど難しいことではない。
 他にも炎の十字架を創り出したなどと言われているが頑張ればシグナムでもできるだろう。

「そして、魔法を知らない一般の人からは伝説として受け継がれ続けている。技術としては受け継ぐ人間が生まれないことが多いから廃れていった。ここまでなら問題はないんだがね。……中にはロストロギアとして今も人に害をなす物が残っているんだ」
「それで……ロストロギアのせいで村が酷いことに…?」

 はやての問いかけに重々しく頷くグレアム。
 どういった内容かは分からないが吸血鬼にグールといった言葉から碌なことではないことだけは分かる。
 だが、それでも切嗣を知るためには避けては通れない道だと思い、グレアムを促す。

「人を操り血肉を貪る怪物に変える洗脳型のロストロギア
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