十二話:昔話
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がいくら頑張っても限界があるってことよ」
「で、でも頑張るのをやめるのはおかしいよ!」
「誰も頑張るのをやめろなんて言ってないでしょ。自分一人で何とかしようとせずに他人も頼るってことよ。どうせあんたのことだから何でもかんでも自分がやらないといけないって思ってるんでしょ?」
「うっ……」
図星を突かれて言葉に詰まるなのはに今度はアリサが溜息を吐く。
自分の力だけで誰にも迷惑を掛けようとしないのは美徳だ。
だが、行き過ぎればそれは自分以外の人間には何もできないという傲慢にもなる。
そうした人間は必ずどこかで行き詰ってしまう。そして、自滅するのが理だ。
「とにかく、あんたは週に一日の休みぐらいしっかり休みなさい」
「は、はい」
自身に気圧されたのかコクコクと頷くなのはに怒りのボルテージが下がったのか冷静になるアリサ。先程までのやたらと説教臭い自分に若干恥ずかしくなって頬を染めながら今度はフェイトの方を向く。
いよいよ自分に回ってきたと唾を飲み込むフェイトに向けてアリサは口を開く。
「フェイトは、まぁ……頑張りなさい」
「私だけやけに軽くないかな!?」
厳しく言われることを予想していたが心のどこかで心配されることを喜んでいたためにショックを受けるフェイト。
今にも泣きだしてしまいそうな表情に慌ててアリサがオンオフの切り替えが大切だとそれらしいことを言っているのを聞きながら、はやては一人あることを思い出していた。
それはグレアムに切嗣の過去を聞いた時のことだった。
「おとんと初めて会ったのはどんな時やったんです?」
「彼との出会いかい? ……もう随分と昔のことになるかな」
グレアムが誕生日のプレゼントを持ってきた時のことだった。
はやてはグレアムに切嗣との出会いを何気なく尋ねてみた。
彼は彼女の質問に一気に老け込んだかのような表情になり遠くを見つめる。
その様子にこれは重い話なのだろうと察し、佇まいを正すはやて。
「今からする話の内容は誰にも話したことがないものだ。恐らく、彼も誰にも話していないだろう」
「……はい」
「まず、私達の出会いは一つのロストロギアが起こした災害がきっかけだった」
ロストロギア。その単語にはやてはゴクリと唾を飲み込む。
それははやてが切嗣と巡り合うことになった発端でもあり、なのは達の出会いの発端でもあるからだ。
グレアムは一端言葉を切り、紅茶でのどを潤してから話を再開する。
「祖国に帰省していた私が丁度その場に居合わせられたのは幸運だった……。いや、結局は何も救えていない以上はそれもあまり関係ないか」
「……一体、何があったんです?」
「昔ながらの伝承を残す小さな村があってね。そこに切嗣君は滞在
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