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ヴァンパイア騎士【黎明の光】
風紀委員の職務
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――入校式の後。

風紀委員として選抜された二名は理事長室に呼び出されていた。
錐生澪と、宇佐美姫羅。


「まず、職務としては」


理事長がデスクの上に紙を広げる。
風紀委員の職務内容が書いてあるらしいプリントだ。
理事長の指先に沿って、二人は視線を落とす。



「簡単に説明すると夜間部の登校の際の警備と、後は普通科の生徒の夜歩きを禁ずる取り締まり。特に夜間部の生徒が生活する【月の寮】には接近させないように。それから――」
「ちょ、ちょっと待って!」


姫羅が挙手と共に口を挟む。
それを見て、理事長――黒主棋聖は、一旦説明の口を止めた。



「何かな、姫羅ちゃん」
「……素朴な疑問なんですけど。夜間部の登校は夕方…つまり、普通科の終業後ですよね」
「そうなるね」
「あの、私達の寝る時間って……」



沈黙。
姫羅と理事長は見つめ合ったまま黙り込み、澪は興味無さげに自分が引いた空色の折り鶴で遊んでいる。
……この空気を打ち破ったのは、当然ながら姫羅だった。


「まさか、自己管理しろ、とか?」
「……そうなるかなぁ」


その言葉に目を見開く。


「授業中ぐらいしか休む時間無いじゃないですかっ!これでどう優雅な学園生活を……」
「ま、まあまあ。成績は大目に見るよ」
「そういう問題じゃないような……」


子供のように喚く姫羅と、それを宥める理事長。
その光景を押し黙ったまま眺めていた澪だったが、その諍いに終止符を打つかの如く口を開く。


「夜間部を守る守護役、ねぇ……」


やはりと言うべきか。
姫羅の喚き声がぴたりと止み、二人が同時に澪を振り仰ぐ。

弄り倒してクシャクシャになりかけの折り鶴を机に置くと、澪は理事長を見据えた。


「必要ですか?あまり必要性は感じられませんが」
「澪くん……」



はっきりとした物言いに、理事長は困惑したような顔で鎮座する椅子に身を沈める。
立派な創りのものではあるけれど、それでも大の男の体重となるとキィ、と小さな軋みが室内に響いた。
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