第九話 再び、ヴァリエール家へ
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すつもりだった。
ペラペラとカルテのページをめくると、とあるページに行き着いた。
(精霊の涙、もうすでに試した後だったか。有名な魔法の妙薬をヴァリエール公爵が知らないわけが無いと思っていたけど・・・)
そのページに書かれていたものは、『万病に効く』と、言われる秘薬、精霊の涙の事だった。
精霊の涙とはトリステインとガリアとの間にあるラグドリアン湖に住むといわれる水の精霊の身体の一部を使って作る最高の秘薬のことだ。
ヴァリエール公爵はもう何年も前に精霊の涙を手に入れ、カトレアに使ったようだったが、カルテを見る限りでは効き目が無かったようだ。
(秘薬中の秘薬をもってしても治らない病気っていったい何なんだ?)
ヴァリエール家が精霊の涙を使ってなかったら、何とかして手に入れてカトレアに施そうと計画を練っていたが、いきなり暗礁に乗ってしまい、頭を抱えるマクシミリアン。
しかし、『頭を抱える時間は無い』と、再びカルテのページをめくる。
・・・どのくらい時間が経っただろう。
一字一句、見落としが無いように食い入るようにカルテを見る。
しかし、これといって決め手になるような治療法は思いつかない。
(焦るな焦るな・・・まだ、一年以上の時間がある。明日、カトレアから血液と体液、その他諸々を採取して、じっくり調べ上げれば良い。努力はきっと報われる。あんな良い娘がいつまでも不幸であってたまるか!)
自らを鼓舞しながらページをめくる。
「ん?」
その後もカルテを読み続けると妙なページに行き着いた。
「何この中途半端なやつ」
それはページの半分程度しか書かれていない、まるで途中で放り出されたような感じのページだった。
(どんな治療法かな?)
と、半端なページを読む、すると見る見るうちにマクシミリアンの顔が険しくった。
「これは・・・治療というより、人体実験じゃないか!?」
思わず声を荒げる。
部屋の外で警護をしていた魔法衛士が異変と勘違いしたのか、ノックをしてマクシミリアンに応答を求めた。
「殿下? どうかなさいましたか?」
「いや、なんでもない。警護を続けてくれ」
「御意」
魔法衛士は警護に戻り、マクシミリアンも気を取り直して、再びカルテを見た。
(中途半端で終わっているのも、きっと途中でクビになったんだろう・・・)
そう思いながらも、何か引っかかるものを感じる。
どういった人が、この人体実験をやらかしたのか興味を持ったマクシミリアンは人名を検める。
そこにはフルネームではなく、『ワルド』と、簡単なサインが書かれてあるだけであった。
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