黒主学園、開校。
7
[8]前話 [2]次話
ざわざわ。
理事長の発言を皮切りに、静かだったホールにどよめきが起こり始める。
……警護?何それ。
何せ話を全然聞いていなかったので、状況が把握出来ない。
また怒られるのではという不安はあったけれど、私は隣に居座り続ける彼にそっと耳打ちした。
「あの、鷹宮さん」
「先生と呼べ」
「……鷹宮先生。警護ってどういう事ですか?」
この人はやっぱり教師らしい。
私から質問を受け、鷹宮先生が初めて私の方を振り返った。切れ長の瞳が私を捉える。
ああ、思った通りこの人も綺麗な顔立ち。
……これで醸し出されるこの不機嫌感が無ければ最高なんだけど、ね。
やっぱり話を聞いてなかったのか、という雰囲気を抑える事なく、鷹宮先生は口を開く。
「ウチの学園の風紀委員のことだ」
「風紀委員?」
「校舎は一つしか無いからな。始業時間になれば夜間部の連中が校舎にやってくる。主にそれの警備的な仕事だな」
「はぁ……」
説明してくれたのは有り難いけど、しっくり来ない。
生徒が同じ生徒を守るの?……何で?
思考が顔に出ていたのだろうか。
鷹宮先生が私の顔を見て、ニヤッと妖しく笑った。
「納得いかねーって顔だな」
「……いえ、別に」
本当は納得いかないけど。
次々に疑問は湧いて出てくるけど、それを鷹宮先生にぶつけても更に疑念が深まるだけのような。
根拠のない自信を信じて口を噤んだ私の前に、変な箱が運ばれてきた。
「何これ……いらない」
「いらない、じゃなくて風紀委員はくじ引きで決めるんだよ。さっさと引いて次に回せ」
怪訝な顔をする私の横から鷹宮先生が口を挟む。
なんか、風紀委員って軽く説明受けただけでもわかるほど重責そうな仕事なんだけど。
こんな形で決めて良いのかな。
先生に諭されるがまま箱の上部に空いた空洞に腕を突っ込み、一枚の紙を抜き取る。箱自体は何だか即席っぽいのに、くじは手が込んでいる。
出て来たのは小さなピンクの折り鶴だった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ