黒主学園、開校。
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「何よ?」
私は凛ちゃんに詰め寄る。
すると彼女は余計に困ったような表情になり、身を引いた。だけど続きが気になる私は更に距離を縮める。
「だから、私が言いたいのは――」
凛ちゃんが諦めたように口を開いたとき。
「コラお前ら。いつまで雑談してる気だ」
死角からいきなりガシッと頭を掴まれ、私達は肩を跳ねさせた。
見ると教師らしき栗色の髪の男性が眉を寄せ、険しい顔で私達を見下ろしていた。
「す、すみません……」
小声で謝ると、その教師っぽい人は身を屈めて私達の頭を無理矢理前に向けた。
「ったく。さっきから丸聞こえだ」
身を屈めているせいか、先生の顔が丁度私達の間に割り込む感じで入って来てて、居心地が悪い。
……自分が悪いんだけど。
これからお世話になる学校の先生に早速怒られた緊張感のせいで心臓がうるさいほどに鳴っていて、隣に聞こえてしまわないか心配だ。
横目で顔色を窺ってみるけれど、癖の強い髪に隠れてて先生の表情は見えない。ただ胸元に付いている名札の【鷹宮】の字が目に付いた。
……鷹宮さん。いや、鷹宮先生?
怖そうだけど、少しだけ見える横顔から察するにこの人も美形っぽい。
何なの。夜間部といいさっきの人といい、黒主学園って顔面偏差値も入校に関係あるのかな。
丁度隣に先生(っぽい人)もいる事だし、聞いてみたかったけどまた叱られる気がしたので諦めて前を向いた。すると――
「ナイトクラスですッッ!!!」
マイクを通した理事長の絶叫がホールに響き渡る。
あまりの声量に私は目を見開き、ちらほら見受けられた睡眠中の生徒の安眠の妨げにはなったようで、皆目を擦りつつ気怠げな目線を中央のステージに向けていた。
殺伐としたこの空気に気付いてない様子の理事長は、一人熱く拳を握り、なかなかの大声で弁を奮う。
「よって、夜間部の警護に当たってくれる生徒を普通科から二名選抜致します!」
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