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水の国の王は転生者
第八話 少女アニエス
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ペ・・・ジョゼフ・ド・クーペ!」

何とか立ち直り老人の方を見ると、老人の変わりに長身の青年が立っていた。

「どうですか? 思い出していただけましたが?」

「ああ、イヤでも思い出すよ、これは」

先ほどのしわがれ老人声から打って変わって、さわやか青年声のクーペはニコリと笑った。

(声まで変わるのか)

マクシミリアンがクーペを家臣に迎えたのは数ヶ月前のことで、腕利きの密偵が欲しかったマクシミリアンはミランを通して出会ったのだが、その時は今のような青年の風体をしていた。

「信用できませんが信頼できる奴が居まして・・・」

と、要領を得ない言葉で、ミランに紹介された。

クーペは隣の大国のガリア王国から流れてきた元貴族・・・と、いう触れ込みでやって来た。ついでにクーペ直属の密偵団も一緒になってやって来たため、『ガリアのあからさまな謀略では?』と、疑わざる得なかった。

(クーペとその密偵団は喉から手が出るほど欲しい・・・)

しかし、謀略を疑って手が出せない。

(逆に考えれば、本当に仕官しにやって来たのでは?)

その後、散々迷って、マクシミリアンはクーペとその一党を家臣に加えることにした。

クーペは密偵頭として密偵団を各地に放って情報集をさせつつ、自身も変身の秘術を使って密偵として動いている。
フェイス・チェンジという顔を変える風と水のスクウェアスペルが有るが、クーペの変身は魔法なのか非魔法なのか、それすら分からない、まさに秘術と呼ぶにふさわしかった。
その気になれば幼女から老人までなんにでも変身できるそうだ。
クーペの本当の顔はもちろんの事、年齢、性別、家族構成など誰も知らない。

(・・・化け物め)

内心、つぶやくしかなかった。

「・・・所で、何しにやってきたんだ?」

マクシミリアンはクーペに聞いてみた。ちなみにクーペは先ほどの老人姿に戻っている。

「へえ、先方の皆様方はすでに到着されてまして。へぇ、それと殿下にご機嫌伺いを」

「うん、そうか、ちょっと遅れてしまったか」

「まぁ、皆様方、久々のトリスタニアですので羽を伸ばしていると思いますがね」

「早いに越したことは無い。早速、出発しよう」

「へぇ、お供します」

マクシミリアンは少々早足で次の目的地へ向かう。後ろにはクーペも着いて来ていた。

十数年前、トリステインの国政を牛耳り辣腕を振るってトリステインを大いに富ませたエスターシュ大公。
その後、大逆罪に近い罪で失脚し、官職や財産を剥奪されエスターシュ大公も自身の領地から一歩も出ることを許されなくなった。
大公の下にいた貴族の大半は他の有力貴族に吸収される形でエスターシュ派は事実上消滅した。
だが、吸収されずにトリス
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