第八話 少女アニエス
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が、ミランが近寄ると顔も合わせようともせずに、そそくさと何処かへ逃げるように去っていった。
後日、マノンに嫌われた原因は何か相談してみたら、どうもアニエスはメイジが嫌いらしい。
マノン自身もミランとアニエスの仲を気に病んでいたため、さらに掘り下げて聞いてみたが結局アニエスは詳しいことは教えてくれなかった。
数週間振りにトリスタニアへ帰ってきて、突然の霧雨に辺りを見渡し雨宿りしようと近くの軒先に向かうと、アニエスとばったり出くわしてしまった。
「あ」
「ああ、アニエスか」
アニエスも驚いた顔でミランを見ている。
(何か話しかけないと)
慌てて、アニエスに話題を振るも沈黙で返される。
(どうしたものか)
以前、さらに踏み込んで接しようとした時、アニエスに激しく拒絶され、それ以来、腫れ物に触れるような対応しか出来なくなってしまった。
ふと気付くと霧雨は止んでいた。
ミランは空を見上げると、アニエスはその隙をつく様に逃げ出した。
「アニエス!」
アニエスはあっという間に見えなくなり、路地裏の軒下に一人残される形になった。
「・・・情けない」
がっくりと肩を落とす。
追おうにもこの足では追いつけそうもないし、アニエス自身、9歳とは思えなくなるほど恐ろしく足が速くなりフライで追っても追いつけない可能性が高かった。
(それにこれから寄らなければならない所もある)
アニエスを追うことを諦める事にしたミラン。
いつもの明朗活発さは鳴りを潜め、何処か暗い雰囲気が辺りに漂っていた。
☆ ☆ ☆
トリスタニアに局地的に降った霧雨は止み、川はいつもの様な緩やかな流れを取り戻していた。
その光景を見届けたマクシミリアンは空き地に戻ろうとすると、空き地に人影を見た。
最初は『アニエスが戻ってきたのか?』と、思ったが、よく見ると平民風の服を着た痩せた老人の男だった。
「流石は殿下、お見事ですな」
老人がしわがれた声でマクシミリアンを称える。
「・・・? ええっと、どなたでしょう?」
「えへへ、こいつぁ、失礼。この格好じゃ分からなかったですな」
「?」
老人は両手で顔を撫で始める。
すると顔か粘土細工のように、ぐにゃりと崩れた。
「ううっ!?」
あまりのキモさにマクシミリアンは顔をしかめた。
顔の変形だけでなく、身体もボキボキと音を立てて変形している。
「う、うげぇぇぇぇぇ!?」
あまりの酷さにマクシミリアンは口に手を当ててうずくまった。幸い、戻してはいない。
「うぐ、思い出した。こいつはクー
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