第七話 王太子の秘薬作り
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んよんでほしい」
「そうか、本を読んでほしいのか」
「うん!」
元気一杯なアンリエッタを下ろして、本棚に向かう。
(アンリエッタが好きそうな本は・・・と)
今年で3歳になるアンリエッタ。
愛すべき妹が好きそうな本を探すが本棚に置いてある物は、ほとんどが秘薬用の魔道書か地球の実用書や辞書など御堅い本ばかりで児童書など数えるほどしかない。
しかもその児童書もあらかた読み尽くしてしまったため、ネタ切れになってしまっていた。
(・・・イーヴァルディの勇者か、前にも読んであげたけど今日はこれで我慢してもらおう)
マクシミリアンは本棚からイーヴァルディの勇者を取り出す、すると、後ろからアンリエッタの声が聞こえた。
「おにーたま、これなーにー?」
(なんぞ見つけたか!?)
あわてて振り返るとアンリエッタは机の上に乗っかって皮羊紙で出来たレポート用紙をベタベタと触っていた。
「ダメだよアンリエッタ、それは大切な物なんだ」
杖を振るいレビテーションでアンリエッタを浮かして机から引き離す。
「ヤダヤダッ! ヤーダー!」
空中で駄々をこねるアンリエッタにマクシミリアンは優しく諭した。
「いいかい? アンリエッタ、これはね嘆願書といって、父上・・・おとーたまにお願いするために必要なものなんだよ」
「たんがんしょ?」
「そう、とっても大切な物なんだ、よい子だからイタズラしないでおくれ」
そう言って、アンリエッタを床に下ろした。
すると、アンリエッタはジッとマクシミリアンを見る。
少し不機嫌そうだ。
「むー」
「お願いだから」
「むぅー」
「ね?」
「わかった、いいこだからイタズラしない」
パッと花が咲いた。
「ははは、よい子だなアンリエッタは」
マクシミリアンはアンリエッタを抱き寄せると、ぷにぷにの頬っぺたに軽くキスをした。
「さ、本を読んであげようか」
「うん!」
部屋の中央にあるソファに腰掛けるとアンリエッタも続いて隣に座った。
「イーヴァルディの勇者でいいよね?」
「『いいばで』でいいよ」
(いいばで・・・って)
アンリエッタの頭を撫で。
内心、突っ込みながら本を読み始めた。
☆ ☆ ☆
アンリエッタに本を読んで聞かせて、しばらく経った頃。
「ん?」
ふと、我に返ると隣で本の朗読を聞いていたアンリエッタは寝息を立てていた。
「あらら、寝ちゃったか」
くーくーと寝息を立てるアンリエッタの髪を手櫛ですいて頭をなでる。
「だれか!」
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