第七話 王太子の秘薬作り
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クシミリアンはジョルジュの組んだ配置を破るために苦心し『ここぞ』という戦機を嗅ぎ取る嗅覚が抜群に鋭くなり、ジョルジュもマクシミリアンの思考の隙を突いた攻勢を防ぐのにさらに慎重になり抜け目無くなった。
他人から見たら、とても10歳児同士とは思えない対局は数時間続いた。
結果は1勝2敗でマクシミリアンの負け越しだったが、ジョルジュは上機嫌なのでこれで良しとすることにした。
(10歳児に負けるのは悔しいけどね)
その後もジョルジュは事あるごとにチェスの勝負を挑んでは激闘を繰り返しお互いの実力を高め合った。
☆ ☆ ☆
そろそろいい時間なのか、ジョルジュが帰り支度しようと席を立つとノックの音が聞こえた。
『殿下、よろしいでしょうか?』
「セバスチャンか、どうしたんだい?」
『アンリエッタ姫殿下が殿下とお会いしたいと、こちらに来ておられまして』
「ああ、ちょっと待っててくれ」
マクシミリアンは入室をいったん保留すると秘薬を棚に納め、すかさず指を鳴らした。
パチン、と室内に小気味好い音が響く、すると部屋中を占領していた秘薬の棚がズズズと音を立てて奥に引っ込み、秘薬の棚があった場所の床から別の棚がせり上がった。
新しく現れた全ての棚には本がぎっしり詰め込んであり、中には日本語で書かれた本も見受けられた。
「これはいったい・・・」
ジョルジュが呆れたようにつぶやいた。
「この部屋はね『魔法』の部屋なのさ」
「いままで何もこの部屋へ来たけど、こんな仕掛けが有ったなんて・・・」
「僕も最初はこんな装置いらないと思ってたけど、アンリエッタが出入りするようになってからは、この装置はよく利用するようになったよ、イタズラされたらいろいろとヤバイ秘薬もあるしね」
と、肩をすくめる。
「まぁ、いつまでも姫様を待たせるのも悪いし、僕はそろそろ帰るよ」
「そうか、それじゃジョルジュ、またな」
「また来るよマクシミリアン」
そう言って退室するジョルジュと入れ違いにアンリエッタが入ってきた。
「おにーたまー!」
「おおっと」
可愛らしいドレスに身を包んだアンリエッタがフライングボディアタックを仕掛けてきた。
避ける訳にもいかないため、そのままアンリエッタの小さな身体を受け止める。
「ぐぶぶっ」
いくら3歳児の身体でも10歳児の身体で受け止めるのはキツイ。
しかも兄の苦労など分からないのかアンリエッタはマクシミリアンの身体にしがみ付きながらキャーキャーと騒いでいる。
「ア、アンリエッタ、今日は何をしようか?」
「えーとね、ごほ
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