18.謝罪と懇願
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リンの生まれ故郷!!』
『ダーリンは恥ずかしいな…』
『ぇえ〜? 結婚はもう決まったんだから、テートクはダーリンデスヨー?』
『まぁいいか……でさ。夏になると花火大会もあってさ』
そう言われた。彼と共に、彼が生まれ育った土地が見たかった。彼が言う花火を見て、幼い彼を見守った星空を、彼と一緒に見たかった。
だがその夢は、あの日に露と消えた。彼は、私の見てないところで消し飛んだ。私が愛した彼は、永遠に私の手の届かないところに行ってしまった。
そしてそのことに絶望して激昂し我を忘れた私は、無謀な戦闘に姉妹を巻き込み、死なせてしまった。比叡は私をいつも愛してくれていた。やる気が時に空回りして失敗することもあったが、そんなところが比叡の愛嬌でもあった。私は比叡を愛していた。私だけではない。鎮守府の皆が比叡を愛していた。
それは榛名も同じだった。確かに榛名は戦闘においても頼りになる自慢の妹だったが、それ以上に榛名は暖かく、心優しい娘だった。いつもいつも周囲を気遣い、人のために行動した。私は榛名を愛していた。そして比叡と同様、私だけではなく鎮守府の皆が榛名を愛していた。
比叡と榛名は二人共、鎮守府の皆を愛し、鎮守府の皆から愛されていた。
私は、その自慢の愛する妹二人を殺した。
比叡は私を庇って死んだ。沈む間際は、私に笑顔を向けてくれさえいた。自分の命を奪った姉に、笑顔を見せて沈んでいった。
榛名は、私の代わりに彼の仇を討って沈んだ。最期は私に謝っていた。私のせいで自分が沈んでしまうことを、私に詫びて沈んでいった。
――金剛お姉様……私は……
――お姉様……すみません……榛名はここまでです……
私は、彼女たちに謝りたかった。私のせいで沈んでしまったことを、不甲斐ない姉のせいで命を失う羽目になってしまったことを謝りたかった。
そして提督。
やっと彼と結ばれた次の日、また会えると信じていたのに、彼は私のいない隙に、私の目の届かないところで死んだ。彼は、私に彼を守らせてくれなかった。まるで私に守らせないことで私を守るように、私のいない場所で死んでいった。
小道の途中で立ち止まった私の頭の中で、あの日以来何度も私を拘束した疑問と後悔が、再び私の心臓を縛った。なぜ私は、彼を守ることが出来なかったのだろう。なぜ私は、愛する姉妹たちを殺してしまったのだろう。誰か答えて欲しかった。なぜあの日……私を受け入れ、私と結ばれた次の日、彼は私を置いて死んでしまったのだろう。なぜ、私は愛する二人の妹を殺してまで生き残ってしまったのだろう。比叡や榛名ではなく、私が生き残る意味は何だったのだろう……
「比叡……榛名……テートク……逢いたいデス……」
そう思っただけで歩けなくなっ
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