■■SAO編 主人公:マルバ■■
ありふれた冒険譚◆初めての絶望、そして希望
第十五話 絶望、そして
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整えるテツオ。ポーションを飲み干したためじりじりと回復する黄色のHPゲージを横目で見つつ、もとの位置に復帰する。
「サチ!」
ササマルが叫び、サチの注意を引いた。見ると、先ほど援護に回ったためササマルの正面ががら空きになり、ササマルが長槍の柄を盾に防戦を強いられていた。素早く剣を薙ぐサチ。その剣先はササマルの長槍をかすり、敵の斧を遠くに弾き飛ばした。両者に硬直が生じるが、硬直しているのは武器を使用した右腕のみ。サチは剣を薙いだ際の重心の移動を利用してササマルの前に躍り出る。もちろん盾は左腕に引きつけて構え、敵の攻撃をいつでも弾き返す構えだ。
サチは敵の態勢を崩し、隙があれば反撃する。ササマルも後ろから追撃する。この二人だけで左側面から正面までの敵はうまく対処できているが、問題は右側面と右斜め前方を担当する二人である。本来ならテツオの後ろから追撃するケイタがいないのだから、敵に対処しきれていない。
「ぐあっ……!」
ダッカーが攻撃を喰らう。ゴーレムの破壊属性の攻撃はダッカーの革装備と相性が悪い。かなりのダメージを負ってしまったようだ。七割残っていたHPが黄色に染まる。
「ダッカー!下がれ!!」
テツオが指示するが、そのテツオのHPもまだ回復しきっていない……というか、少しの隙ができるごとに少量のダメージを受けるためポーションの回復が追いつかないのである。
(このままじゃ、まずい……)
テツオの心が確実に絶望に飲まれ始まる。絶望は焦りを生み、焦りはミスを誘う。次々と攻撃を喰らうテツオはついにまたHPを黄色になるまで下げてしまった。テツオは初めて本格的に死の恐怖を感じた。
「そこを、どいてえええええええっ!!!!」
マルバは絶叫しながらチャクラムを投擲する。チャクラムは目標の周囲を何重にも旋回した。チャクラム専用技、『鎌鼬』はまるで本物のカマイタチのようにほとんど目に見えない高速技だ。敵は四方八方から切りつけられ、何が起こったのかもわからないまま爆散する。更に短剣でコンボを狙う。
「邪魔だッ!!」
棍を振り回すケイタは走ってきた勢いを殺さずに突撃し、マルバが刈り残した敵を一掃する。スキル始動技の『舞花棍』はまるで盾のような役割を果たす技だ。敵の腕は武器ごと棍の回転に巻き込まれ、弾かれ、飛ばされる。
「きゅうっ!」
ついでにユキも走ってきた勢いを利用して突進攻撃。基本的に直接攻撃能力が少ない使い魔でも、敏捷性さえ高ければ突進攻撃はそれなりの威力を持つ。この階層の敵ならユキも多少攻撃を喰らっても平気だ。HPゲージが赤い敵にとどめを刺す。
((間に合ってくれ……!!))
二人(と一匹)が救出を願う仲間たちの隠し部屋まで、あと六分ほど……
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