■■SAO編 主人公:マルバ■■
ありふれた冒険譚◆初めての絶望、そして希望
第十五話 絶望、そして
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ビーッ!ビーッ!
鳴り響くアラームをダッカーは蹴りの一撃で黙らせた。
「アラームトラップだ!下がれ!!」
テツオの指示が飛ぶ。
総員撤退……と言おうとしたところで背後の扉が音を立てて閉まる。と同時に周囲の壁が崩れ、中からたくさんの敵が踊り出てきた。アラームトラップにも様々な種類があるが、これはおそらく最大級のトラップだろう。通常はアラームが鳴り続ける限り少量ずつポップし続けるだけなのだが、このように一旦鳴ったら大量の敵が一度に出現するタイプもごくごく少数ながら存在する。これは攻略組の中でも知るものは少ない。その理由は遭遇したもののほとんどが全滅した点にある。
じりじりと後退しつつ閉まってしまった出口まで移動し、そこで隊形を整えた。前衛二人が前、後衛が後ろにつく。ダッカーは敵が攻撃してこないうちに転移結晶を手にして叫んだ。
「転移、リンダース!!」
しかし……なにも起こらない。その場にいる全員の脳裏にマルバの言葉が蘇った……
――――『結晶アイテム無効化エリア』なんていう最悪の場所が存在する――――
「『結晶アイテム無効化エリア』だ!ダッカー、前に出て前衛のフォローを!敵を全員倒すんだ!!……行くぞッ!!」
テツオの声で皆は隊形を組み直した。命を懸けた、字義どおりの死闘が始まる。
「はあっ、はあっ、……っ」
マルバは荒い息を整える暇もなく主街区を走り抜けた。全速力で角を曲がると、誰かと正面衝突する。
「ごめんなさい!」
謝罪をする暇も惜しみ、そのまま小さく頭を下げて走り去ろうとするマルバを、その人物は呼び止めた。
「マルバ!なんでそんなに急いでるの!?」
改めて顔を見ればなんとその人物はケイタだった。
「いやー、思ったより早く済んでさ、今帰ってきたところなんだけど……」
「いいから走って!!!」
そう叫ぶとマルバはまた走り始める。急いで追ってきたケイタに早口で事情を説明する。ケイタも一気に険しい表情になった。二人は全力で迷宮区に向かう。迷宮区まで、あと12分といったところか……
「うわあああああああッ!!!!!」
ダッカーが石のように硬いゴーレムに強烈なコンボ攻撃を繰り出した。『パラレル・スティング』から『閃打』、更に『リニアー』から『双牙』。合計六連打が決まるが、敵のHPはやっと半減するかしないかといったところだ。二秒ほどの少し長いディレイに陥る、その隙をカバーしたのはテツオの盾。しかし、ゴーレムの腕は強力な破壊属性攻撃である。盾相手にも強烈なノックバックが生じ、テツオは後方に吹き飛ばされた。それを狙う第二陣。しかし、素早くフォローに回ったサチの円盾がそれを『パーリング』した。逆に吹き飛ばされたゴーレムは後方の味方を巻き込んで倒れこむ。その隙に態勢を
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