はて迷外伝 最強の剣と最強の盾
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ば彼は、その少女の背中に遠い未来に英雄の姿を見たから。
何者よりも気高く、棚引くマントは勇ましく、掲げた剣は美しく。大陸八方その勇名轟かし、並び立つは戦友のみ。赴いた戦では勝利をもたらし、あらゆる困難はその手で打ち砕く。そんな絵本に出てくるような最強で最高の君主になる資格を、彼女――アーサー・キャバリエルは持っている。
少年は黙って自らの片刃の大剣を掲げ、アーサーの剣と重ねる。
「ならばこの俺――ユーリ・ツェーザルが剣王さえも守る最強の盾になろう。大砲をも弾き飛ばし、城塞よりも堅牢な最強の守護者になろう。喜べアーサー、お前は俺がいる限り一生戦場で盾を抱える必要はない。むしろ……出番を喰ってしまうかもな」
「それもない!最強の盾だけでは攻めが疎かになるでしょう?だから……最強の剣と最強の盾、二人揃って最強だ!!」
今はまだ、二人は本当にちっぽけな光でしかない。
大きな時代に流されるだけの、どこにでもいる存在でしかない。
そう、今はまだ――。
「………でもそれだけだと不安ね。やっぱ最強の王は最強の兵士を一通り揃えといたほうがいいのかな?最強の魔法使いとか最強の射手とか!あ、そう言えば知ってるかしらユーリ?極東には『シノビ』っていう伝説の戦士がいるらしいわよ!そーいうのも仲間に欲しくない!?」
「そういうのを取らぬ狸の皮算用と言うんだ。仲間集めは自分が他者から認められるくらいに強くなったら自然と集まってくるだろう。今は耐える時代なんだよ」
「嫌!そういうの性に合わない!最低でも一か月以内にはレベル2になるってもう決めたの!」
少女の野心は分不相応に大きい。確かに王の素質は認めているが、時折ユーリは彼女をタダの身の程知らずなんじゃないかと思う時があるのだった。
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