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はて迷外伝 最強の剣と最強の盾
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のヤツはもうレベル5だって話じゃない!なのにこちとら未だにしがないレベル1!オラリオ最弱のミジンコなのよ!?綿棒で潰れる極小微生物の地位に甘んじてるとか腹立つじゃない!私は今すぐにでもこのモーレツな冒険者カーストを脱出したいのよっ!!」
「この街の全てのレベル1を敵に回す大胆発言だな……」

 両手をブンブン振り回す少女に「まだ元気じゃないか」と内心で突っ込みつつ、少年は冷や汗を流した。
 確かにレベル1冒険者はこの街では掃いて捨てるほどいる雑兵の類だが、みんな頑張って生きているのだ。確かにレベルが上がらず日の目を見られない落伍者が多いことも確かだが、今の高レベル冒険者だって昔は1からのスタートだった事を鑑みると割と暴論である。

「俺もお前もまだ冒険者になって間もないだろう。対してあっちは俺達より遙かに前からダンジョンで戦っている。付け焼刃の努力で追い越せるほどこの差は小さくないことぐらい分かっているだろう?」
「………分かってるよ。でも悔しいの!この悔しさをどっかにぶつけたかったの!そしてどーせぶつけるんなら魔物にぶつけて経験値になって貰ったほうがお得じゃないの!!」

 彼女はお得という言葉に目がない。が、そのお得の裏側にある事情――すなわち、死のリスクや疲労などの計算は含まれていない場合が多い。だからこそ少年は彼女から極力目を離さないようにしている。
 彼女は、放っておくと何をやらかすか分からないのだ。それを少年は経験則で知っていた。

「とにかく、アイテムと魔石を拾って一度ホームに戻るぞ。トール様が心配する」
「心配し過ぎなのよトール様は。あんだけガタイがいいのにどうして気は小さいのかしら?」
「そう言ってやるな。ファミリアを亡くしたくないが故だ」

 二人で黙々とアイテム類を拾い上げる。これもファミリア存続と小遣い確保の為の貴重な資金源だ。一つとて甘く見る事は出来ない。これでも二人はレベル不相応とまで言われる程度には良い武器を使っているのだから、それを維持する金は多いに越したことはない。

「あーあ………なーんか、私の想像してた冒険者と違うなぁ。こう、ガツーンと名を上げて強くなる方法って本当にない訳?」
「あるにはあるが、高確率でガツーンと強い魔物に殺されるぞ」
「それはない。絶対ない。何故ならば、そう……」

 周辺のアイテムを拾い終えた少女がすくっと立ち上がり、剣を掲げた。

「私はこのオラリオの歴史にその名を刻む未来の剣王、アーサー!我が剣に一片の曇りなく、我を退ける敵はこの世に無し!……世迷言と笑いたくば笑うがいいさ!笑ってられるのは今の内だけなのだから!」

 意気揚々と夢を叫ぶそのちっぽけな冒険者。
 しかし、少年はそんな彼女の姿を人生でただの一度も笑ったことはない。
 何故なら
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