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至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
八 〜人、それぞれの想い〜
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者から自己紹介致す。董卓殿、宜しいか?」
「そうですね、お願いします」

 私は、二人に向き合い、

「お初にお目にかかり申す。拙者、土方歳三。董卓殿が仰せの通り、義勇軍を率いて黄巾党と戦っている者にござる」
「ふむ……。義勇軍のう」

 丁原は、まじまじと私の顔を見つめる。
 義勇軍だからと侮りを見せるならば、それなりに応じるまでだが。

「何か?」
「……いや、いい面構えをしておるの」

 感心したように、頷き、

「ワシは、丁原、字を建陽。并州刺史をしておる。恋、お前も自己紹介せよ」
「……恋は、呂布。字は、奉先」

 無口なのだろう。
 どことなく、掴み所のない雰囲気を漂わせているが……見た目に騙される奴も、いる事だろう。
 これが、あの呂布か。

「土方殿、で宜しいかな?」
「はい」
「貴殿、かなり修羅場を潜っておると見たが? どうじゃ、恋?」
「……ん。お前、強い」
「ほう。あの呂布殿にそうまで言われるとは、光栄至極」
「む? 恋を知っておるのか、土方殿?」
「……無双の強さを誇る赤髪の者がいる、そう風の噂にした事がござりまする」
「恋の強さがそこまで広まっているとはのう」

 危ういところであったが、どうにか誤魔化せたらしい。
 ……と、足下に気配を感じた。
 見知らぬ犬が、紛れ込んだのか?

「ハッ、ハッ、ハッ」

 パタパタと尻尾を振り、私を見上げている。
 毛並みの良さから見て、野良犬とも思えぬが。

「何だ? 私に何か用か?」
「ワンッ、ワンッ!」

 人懐っこい犬のようだ、しかし何故ここにいる?

「……セキト」
「ワンッ!」

 犬は、呂布のところに駆けていった。

「呂布殿の犬でござったか?」

「……(コクッ)」

 セキト、と言ったな。
 呂布と言えば赤兎馬だが。
 ……まさか、あの犬に跨がって……とは思えぬ。

「……お前、不思議」
「拙者が?」
「……ん。セキト、誰にでも懐かない。けど、お前に、懐いた」

 ふむ。

「はっはっは、ますます不思議な御仁じゃのう、土方殿?」
「……は。拙者はとんと、わかりませぬ」
「いやいや。月、この御仁、ただの無名な輩とも思えぬが」
「おじ様もそう思われますか。既にあの韓忠と程遠志を討ったのですよ、土方さんは」
「何と。程遠志と言えば、この辺りでは最大の勢力を誇っていた賊将ではないか。いくら、月が加勢したとは申せ」
「いえ。私は何もしていません。土方さんと、配下の方々のお力で」
「……むう。ますます信じられん。しかし、月が嘘を言う筈がない……むむむ」

 ふむ、どうやら誇張して受け取られてしまっているようだ。

「丁原殿。拙者達は、確かに韓忠
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