第九十五話
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味あるのか……?」
困ったような表情で髪をクシャクシャとするショウキの前には、鍛冶妖精としての本領を発揮する際に使う、専用のハンマーと作業用の道具が置いてあり。いつでも鍛冶が出来る状態だったが、いかんせん本人にやる気がなさそうであった。
「そんなこと言わずに師匠!」
「…………」
タルケンから師匠、と呼ばれるもショウキは苦笑いのまま、その表情は止まる。何でも、ショウキの鍛冶の様子を参考までに見せてもらいたい――とのことで。商売敵という訳でもないので了承はしたが、基本的にスキルレベルによって変動する鍛冶の出来映えに、一体何を参考にするところがあるのだろうか。鍛冶妖精の先輩ことショウキとしては、全くそう思わずにはいられなかったが、まあとにかくということで押し切られ。それにクラインとテッチも面白がって着いてきていた。
「そもそも、それならリズの方に頼めば……」
もちろん戦闘スキルよりの自分より、かのデスゲームの時から鍛冶屋をやっているリズの方が、当然鍛冶の腕前は高い。自分もSAOでいうところの《鍛冶スキル》はマスターしたものの、鍛冶妖精という一つの種族の目玉となったALOでは、さらに鍛冶スキルが細分化されており。そこまでは、流石に自分も手が回っていない。
「あー、タルには無理だよそれ。可愛い女の子と会うとあがり症で」
「否定できない」
「否定しろ」
同じスリーピング・ナイツの仲間であるテッチと、何を隠そうタルケン本人の太鼓判によって、リズに押し付けるという案は完全に否定される。そんな否定できないタルケンに気安く、クラインが肩を組んでいく。
「もったいねぇなぁ。ユウキにノリ、シウネーさんと身内にいるのによ」
もちろんオレはシウネーさん推しだけどな――などと、アイドルグループの推しメンバーを言うようなクラインに、テッチとタルケンは苦笑してしまう。
「同じギルドの仲間だけど……そういう対象にはならないよ」
薄い丸メガネの奥にある目を細めて笑いながら、ねぇ、とタルケンはテッチに同意を求める。テッチは言葉にこそしないものの、その雰囲気で肯定の意を示す。そんなどこか超然とした雰囲気の彼らに、ショウキは少し疑問を感じていると。
「はー。だってよショウキ」
「……何でこっちに振る」
スリーピング・ナイツの心温まる話になるかと思いきや、何故かクラインの標的がタルケンからショウキに移ったことで、その疑問は宙に消える。タルケンと肩を組むのを止めたかと思えば、ショウキに向かってビシリと指を指す。
「テメェはむしろ、なんでリズがいるのに浮いた話一つねぇんだよ! キリトを見習えよ!」
何故か逆ギレされた。何やら熱弁するクラインの演説は止まることはなく、さらに熱が
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