第九十五話
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店に大きな声が響きわたった。
「みんなー!」
「ノリ? どうし――」
スリーピング・ナイツのメンバー、スプリガンのノリの声だ。何か緊急の連絡かと、ジュンは声をする方法を見ると、そこにいるのはノリだけではなく。
「わぁ……」
ウンディーネのシウネーもいた。同じギルドのメンバーである彼女が、ノリと同じ場所にいても何らおかしいところはないのだが。問題はリーファが思わず感嘆するような、その格好にあった。
「綺麗だね」
「でしょー? シウネーったらいいアバターなのに、先に装備だーって全然オシャレしないもんだからねぇ」
――ジュンがつけていたキリト変装用のカツラの出所である、リズが何となく集めていたパーティーグッズ。そこから猫耳とかメイド服とか、そんなコスプレのようなものをコーディネートして、シウネーはそこに立たされていた。雄弁に語るノリとは対照的に、顔を伏せてその青いロングヘアで隠し、まったく一言も発することはなかった。
「………………」
「これは……リーファ! リーファ! 負けてられないわよ!」
「何でこっちに振るの!?」
そのコスプレパーティーグッズの持ち主は、こうしてはいられないとばかりにカチンコを投げ捨てると、嫌な予感を感じて逃げようとしていたリーファを即座に捕まえる。
「ほら、ルクスも! 行くわよ!」
「えっ、私もか――」
ルクスの言葉が最後まで言われることはなく、店主によって乱暴に部屋の扉が閉められる。残されたのは奇しくもスリーピング・ナイツのメンバーであり、ジュンは困ったような顔でノリを見た。
「オレもう帰っても」
「え? アンタ審査員でしょ?」
どうやら男優役の次の就職先は、既に知らぬ間に内定されていたらしい。いつの間にか決定していた審査員として、いつの間にか作られていた審査員席に座り込み……ジュンは、残りのメンバーがいるであろう部屋の方、羨ましげに見つめていた。
「向こうはピンク色の声が聞こえるなオイ」
――対する、その他のメンバーが集まっている部屋においては。奇しくも同じサラマンダーであるクラインが、似たような面もちでそちらを見つめていた。
「シウネーさんとお近づきになれるかと思ったのによ、何だこの仕打ちって」
「……文句あるなら向こう行け」
《リズベット武具店》の工房。普段は店主とその助手が、命を削って武具を作り上げているそこに、残りのメンバー――ショウキ、クライン、テッチ、タルケンが集まっていた。向こうに比べて圧倒的な男女比に、クラインが数秒に一回のペースでボヤいており。さっきまでリーファがいたのだが、そのリーファも一回聞こえた悲鳴から帰ってくる気配がない。
「そもそもこれ、意
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