第九十五話
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」
「それはさっき聞いた。何か別の方法を考えなくちゃね」
リズ監督による映画撮影は中断され、カチャカチャとカチンコを鳴らしつつ、何か妙案が出てこないかと腕を組む。
「ルクスさん、調子はど……ダメみたいだね……」
「リーファ。そうなんだ、どうしても」
他の部屋から顔を出したリーファだったが、立ち込める空気から上手く言っていないことを悟る。憧れの芸能人と喋っているファン、というような心境というべきか。これはもう慣れるしかないのではないか、と男優役のジュンは思うようになっていると、リーファが新しく案を出した。
「アレなんてどう? 人をカボチャに思えーっていう」
リーファが手を叩きながら言った言葉は、舞台演劇でよく言われるような手法。見られることが恥ずかしいのであれば、観客をカボチャだと思って視線を気にするな、という話。
「悪いけどそんな……キリト様をカボチャだなんて」
「案外めんどくさいわね、あんた……」
しかしてその手法は、他ならぬルクス本人の手によって否定され。変なところで真面目なのは、本当にあの日本刀使いの鍛冶屋とそっくりだ――などと思ってため息を吐きながら、リズ監督は思わず悪い顔をしながら、指をルクスへと突きつける。
「じゃあ今度、キリトと二人きりでクエストね! 荒療治!」
「えっ……えぇ!?」
「キリトと話したいんでしょ? もうそれしかないわ!」
「それは……そうだけど……その、まだ顔を合わせられないって、いうかっ!」
赤面して慌てふためくルクスを眼福眼福と眺めながら、リズはさらに畳みかけていく。
「もう決定! いーい? キリトには話つけといてあげるから!」
「うぅ……」
強引に押し切ったリズとルクスの問答の裏で、リーファが誰にも気づかれないように小さく呟いていた。キリトとルクスが二人っきりでクエストに行く、という話について。自分も最近そんなことはしていないのに。
「……それはそれで、ちょっと……」
「ちょっと、何だって?」
「な! 何でもない!」
……リーファとしては、誰にも気づかれないように言ったつもり、だったが。気づけば近くにいたジュンに聞かれてしまい、ぶんぶんと手を振りながら必死に否定する。ジュンも怪訝な顔をしたものの、それ以上追求することはせず。
「……? で、リズ。もういいか?」
「あ、ごめんねジュン。ありがと」
本人曰くくすぐったいカツラをすぐさま剥ぎ取り、ジュンのサラマンダー特有の真紅の髪が露わになる。通常ならば、髪型を変えるには専用のアイテムが必要なのだが、このカツラはどこから調達してきたのだろうか。そんなふとした疑問をジュンが口にしようとした瞬間、リズベット武具
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