第九十五話
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ったカップにアスナがハーブティーを注ぎ、その場に落ち着くようにそっと一口。
「で……何の話?」
「多分……姉とか妹とか、兄とかなんて話してたから。家族について、かな」
「それでペット、ね。ふーん」
自分の猫耳をピコピコと動かしながら、興味なさげにシノンは答える。ようやくシリカも椅子に座ると、ピナがその膝の上に座る。シリカのハーブティーを注ぐアスナだったが、そこでピナの分のカップを用意してないことに気づく。
「持ってきますね、ママ」
「あっ……ごめんねユイちゃん。ピナも」
気にするな――とばかりにピナは高い声で鋭く鳴き、机の上に置いてあったマカロンを摘まむ。……そんな様子に目を輝かせるユウキに身の危険を感じたのか、すぐさまシリカの膝の上に避難していたが。
「アスナがそんなミスするなんて珍しいな。……いや、気づかなかった俺も悪かったな。何か悩みでもあるのか?」
「う、ううん! 何でもないよ、ちょっとうっかりしてただけ」
そうしてキリトに無理やりごまかしながら、ユイに持ってきてもらった追加のカップに、ピナの為のハーブティーを注いでいく。シリカの膝から恐る恐る顔を出し、カップに首を近づけるピナに比例するように、興味津々なユウキがピナに近づいていた。
「ね、ねぇ。触ってみても……いいかな?」
「えーっと……ピ、ピナに聞かないと」
手を伸ばすのを我慢しているようなユウキに、シリカはピナに判断を委ねることにする。ピナの顔を二人で見た瞬間、ピナは高速でユウキから目を背ける。それが答えだと悟ったユウキは、少ししょんぼりとしながらも仕方ない、と頭を下げる。
「そ、そうだよね……ごめわっ!?」
うなだれてしまったユウキが見ていられなかった――のかは定かではないが、ピナが頭を下げたユウキの頭上に飛び乗った。いつもシリカにそうしているかのようなソレは、触っていいとピナが認めているかのような。
「ありがとうピナ……凄い可愛い!」
「あ、あのユウキさん、ちょっとお手柔らかに……」
ずっとピナに興味津々だったものの、目の前でおあずけをくらい続けたユウキに、シリカのそのか細い声が聞こえることはなく。精一杯愛でる様子は他者から見れば和む光景ではあるが、ピナからすればたまったものではなく。
「そういえば……シノンは使い魔はテイムしないのか?」
「え?」
ふと気になって、キリトは隣で自分のペースを維持したままの、使い魔を擁しているはずの猫妖精に問う。ケットシーの強みとは、そのものズバリ使い魔とテイムスキルであるのだが、シノンはケットシーであるにもかかわらず使い魔はいない。それは彼女がケットシーを選んだ理由が、使い魔ではなく『一番視力がいいから』という他に類を
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