第九十五話
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完成品の野太刀を興味深げに見つめてはいたが、もちろん依頼人のテッチからはいらないと言われ。大盾を注文したのに出来たのが巨大な日本刀なのだから、当然と言えば当然というか当然である。
「おっ、じゃあオレが……って重ぇ! ダンベルか何かか!」
「これもコレクション行きか……」
脳筋ビルドと言ってはばからないクラインが持てないとなると、もちろんショウキにも持つことは出来ず。システムメニューによる操作で手も触れず、野太刀はショウキのカタナコレクションへと加わった。
「ショウキたちー! ちょっとこっち来れるー?」
リズの声が遠くから響き渡る。このようにしてまたもや使わないカタナコレクションが、自分の店の倉庫に増えたことをまだ知らないリズの声だ。返答しようと工房の扉を開けたショウキの耳に、リズの声以外の音が広がってきていた。
「……歌?」
店の外から流れているからか聞こえにくいが、それは確かに歌声だった。生で歌っているような感じではなく、どこかスピーカーから流れているような。
「お、七色の歌じゃねぇか。流してる奴センスいいねぇ」
「……七色?」
ショウキと同じく部屋から顔を出したクラインが、その歌を耳ざとく聞き分けた。人の名前のようなその名前を聞き返すと、クラインが信じられないような顔でショウキの顔を見つめた。
「おいおい、いくらリズ一筋だろうが七色くらい知っててもバチは当たらねぇぞ?」
「聞いたことありますよ。アイドルですよね、確か……」
「ショウキー? どうしたのー?」
テッチが糸目をさらに細めながら、その七色なる人物について話そうとした時、リズの更なる呼び声が響く。結局、それでその話は一旦終わり、とりあえずショウキはリズへと返答を返した。
「ああ、今行く――」
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