第九十五話
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「なっ……ボ、ボク、そんな年じゃないやい!」
椅子から立ち上がってまで力強く否定するユウキに対し、アスナはあくまでマイペースに、ユイに『お姉ちゃんがいい? 妹がいいー?』などと聞いている。
「ユウキ……お姉さん?」
「うっ」
姉、などと呼ばれることのない――でもちょっと憧れる――呼称で呼びながら、こちらを見上げてくるユイに少し言葉が詰まる。こう呼ばれるならアスナの娘でもいいか、などと一瞬でも考えてしまう破壊力を持ったソレに、ユウキの脳内はその瞬間真っ白になってしまう。
「でもさっき注意されてたし、やっぱりユイちゃんの妹かしらね」
「う……うー〜……キリト! アスナがイジメる!」
ユウキの必死な主張に巻き込まれたキリトは、苦笑いしながら目をそらす。こうなってしまえば、もうアスナを止められないだろう、という諦めをもった視線。
「よしユウキ。なら遠慮なく俺をお兄ちゃんと呼んでも……」
「えっ……それはちょっと。キリトってお兄ちゃんって気がしないし」
「パパはパパですよ?」
一刀両断。いや否定されるとは思っていたが、まさかここまで真っ二つにされると思っていなかったキリトが、膝の力を失って椅子から転がりかけてしまう。自分とて立派な妹がいる兄なのであるが、と。
「い、いや、俺だって妹がいるんだから、兄オーラがだな……」
「あ、リーファってキリトの妹なんだっけ。またリーファとは手合わせしたいなぁ」
「……諦めよ、キリトくん」
アスナからもトドメを差されたキリトが、今度こそ崩れ落ちるのをアスナは横目にしながら、人数分のハーブティーをカップに注ぐ。ユイは楽しそうに、ユウキはやはり少し恐縮しながらも、それを口に運んでいく。
「私も妹はいないから。リーファちゃんみたいな可愛い妹、仲もいいし羨ましいな」
「ねー」
「そうなのか……?」
最近まで不仲でした――とはとても言えない雰囲気が作り上げられてしまい、椅子に座り直したキリトは顔をひきつりながら適当に返していると、家の呼び鈴が鳴る。その場で確認できるような便利な機能はついていないが、呼び鈴を鳴らした主はすぐさま家に飛び込んできた。
「遅れました!」
「お邪魔します」
頭に青い小竜ことピナを乗せたシリカに、つい最近このゲームを始めたシノン。奇しくも二人とも猫妖精という、残りの客人が揃った光景を見て、ユウキとキリトは揃って同じ言葉で呼んだ。その本来人間にはありえない耳と、ゆらゆらと揺れる尻尾を指差しながら。
『ペット!』
「いきなり何の話ですかぁ!?」
やいのやいのとキリトにユウキ、シリカがペットについて騒ぎ出す中、シノンはさっさと椅子に座る。元から用意してあ
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