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ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの死闘を 07
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とを思い出したクラインさんは、微妙になりかけた空気を無理矢理押し流した。

 背教者ニコラス。
 去年のクリスマスの夜、僕とアマリが殺したモンスター。
 そしてそれは、年1回しか出現しない特殊なモンスターで、倒せば多くの財宝と蘇生アイテムが手に入ると言う噂が出回ったモンスターなのだ。

 リーナを蘇生させるために背教者ニコラスを殺そうとしていた僕と、その頃には既にオレンジを、否……『レッド』を何人も殺していた僕を捕らえるために集まったプレイヤーたちとの戦闘が勃発した。
 僕を捕らえようとしたプレイヤーたちの先頭にいたのはアスナさん。 そして、そこにはキリトやクラインさんもいて、僕はその全員に狂気の刃を向けたのだ。

 あの夜の出来事はその内話すとして、とにかくそれ以来、僕は決定的に攻略組の敵になった。
 それを思い出して気まずくなるべきは僕だろうに、お人好しのクラインさんの方が気まずげにしている。

 「僕は色々なところで恨みを買ってるからね。 自業自得って言われたらそれまでだけどさ」

 クスリと笑った僕は、ウインドウを操作してエスペーラスとマレスペーロを除装した。
 どうせバレてしまった双剣を今更隠す理由はないけど、だからと言ってこれ以上見せびらかす理由もない。 と言うか、使い勝手が良すぎてそれに頼りきりになりかねないのだ。

 「それにしても、ずいぶんと悪辣な難易度になってたね。 今までのボス戦の傾向とか、各層におけるボスの強化具合から考えてもさっきのあれは異常だったよ」
 「そうですね。 73層も苦労はしましたが、この層の難易度に比べれば優しかったと言えるでしょう」
 「そりゃ、不測の事態ではあったけど、それでもね。 これからの攻略が思いやられるよ、本当に」

 やれやれと首を振りながら、僕は考える。

 縦構造のアインクラッドは上層に行けば行くほど難易度が上がる。
 敵のレベル。 ダンジョンの複雑さ。 トラップ。 クエスト。 それら諸々が一部の例外を除いて一定のペースで高度になっていく。 少なくとも、今までであればそうだった。

 だけど今回。
 74層フロアボスは今までの上昇ペースを無視して、その難易度が跳ね上がっていたのだ。
 ボス部屋の結晶無効化空間。 おそらくはプレイヤーの人数に対応した特殊スキルのアンロック。 ボス討伐後の強制転移。 圧倒的物量による妨害。
 跳ね上がった難易度が下がることは、これまでの経験からしてないだろう。 そうでなくても次の層は75層。 3度目のクォーター・ポイントにして、100層を除けば最後のクォーター・ポイント。
 25層、50層と、それぞれのクォーター・ポイントの難易度は悪辣だった。 いくつかある例外のひとつが、クォーター・ポイントに於ける難易度の急上
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