本編
第七話
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いく。ギーシュはその背中に羨望の眼差しを向けながらも無理に追い縋ろうとはせず自分のペースを維持する。自分の限界を理解しているギーシュは無理をすることの意味の無さをよく分かっていた。故に、自分のペースで一歩一歩、少しずつ前へ進むと決めていた。
この光景は、平賀サイトとギーシュ・ド・グラモンの毎朝の日課であったが、多くの者はその事実を知らない。
トリステイン魔法学院の何気ない早朝の一コマであった。
そしてギーシュがサイトに一周ほど差を付けられてランニングを終えたころ、学園の生徒や講師よりも少しばかりはやく使用人達が働き始める。夜番の者と交代する者、朝食の準備を始める者、洗濯やその他雑用を行う者。仕事は様々であるが、彼らの内の多くの者が仕事を始める前に、中庭の広場に集まる。
中庭には平民の使用人だけでなく、殆どの生徒達がやっとのことベットの中で目を開けている中、早起きな生徒達が幾人かと、未だナイトキャップを被ったままで起きているのか寝ているのか分からない様子の学院長、それと講師達も幾人か混ざっており、頭の毛が少々寂しい者や風の強さを妄信している者などがいた。
最後に、ランニングを終え息を整えながらギーシュが参加すると、集団の先頭にいたサイトがどこからか自らの身長の半分程のサイズの木箱を用意し、集団から少し離れた所に置く。その木箱の上に一番始めにやってきていたルイズが昇ると、集団の視線がルイズに集中する。尤も、まだ半分ほど眠っているような状態の者もいるので、瞼を閉じかけている彼らの視線が集中というよりは顔が集中であった。
ルイズは皆が自分の方を向いたのを確認すると、首から下げていたクリスタルのアクセサリー、つまり彼女の相棒であり杖であるテゥ―スを外し、自分の立つ木箱の前方に置く。テゥ―ス、とルイズが一言言うとテゥ―スは数度点滅しやがてその体の表面に文字を浮かばせる。そして自らに保存されているとあるデータの再生を開始した。
「ラジオ体操第一」
あまり抑揚の無い機械らしい声質でテゥ―スが日本語で歌い始めると共に、イッチ二サンシとリズムを取る音楽が流れだす。音楽と共に、テゥ―スが歌うように読み上げる指示にルイズ達はその通りに動き始める。ルイズとサイト以外の者達はテゥ―スの流す音声の意味は理解出来なかったので木箱の上に立つルイズに倣う。
言わずと知れた、地球の日本の、特に夏の早朝の風物詩、ラジオ体操であった。始めはこのラジオ体操もルイズとサイトが二人でやっていたことだが、それを見ていたギーシュが興味本位で参加。次に偶然早起きしたルイズの同級生とは思えない程スタイルの良い紅髪の少女が参加し、彼女に誘われた小柄な青い髪の少女も参加。そしてルイズが偶々見ていたメイドを誘い、朝からテンション高く異国のダンスに興味を持った髪の寂し
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