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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十九話 終結
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する。俺の右にはアイゼナッハ、左にはレンネンカンプ、その左にケンプ。なかなか豪勢な顔ぶれだ。多少用兵に柔軟性が足りない部分が有るかもしれないが攻撃力は問題無い。俺の正面にウランフ、レンネンカンプの前にヤンだ。そこは注意しないといかん。

「全軍に伝えてください。無理な攻撃はするなと。このまま戦線を維持しメルカッツ副司令長官の来援を待ちます」
「はっ」
“敵は訓練不足だ、一気に押せ”、そう言った方が士気は上がるんだろうな。皆もそれを望みもどかしい思いをしているのかもしれん。

もどかしい思いをしているのはヤンも同じだろう、周囲に足を引っ張られすぎだ。そうか、ヤンと戦う時は集団戦の方が良いのかもしれない。一対一だとヤンは自由に動くが多対多なら何処かでヤンの足を引っ張る奴が居る、或いは周りの事を考えて自由に動けない。その分だけヤンの怖さは減少する。

ヤン・ウェンリーが集団戦で力を十二分に発揮するにはヤンと同等の能力を持つ奴が必要だろう。例えばラインハルト、ロイエンタール、ミッターマイヤー、ビュコック、メルカッツ……。そこにヤンが加わる。うん、ドリームチームだな。それともプロ野球のオールスター戦か。どんな戦いをするのか見てみたいものだ。

「閣下?」
ヴァレリーが不思議そうな顔をしている。
「何です、フィッツシモンズ大佐」
「いえ、なにやら楽しそうでしたので」
周囲を見るとリューネブルク、ワルトハイム、シューマッハ達も訝しそうにしている。

「そうですか。……戦況は悪くないですからね、その所為でしょう」
俺が答えるとヴァレリーは曖昧な表情で頷いた。いかんな、気を引き締めよう。まだ戦いは終わっていないんだ。集中、集中。……リューネブルク、何が可笑しい。ニヤニヤするんじゃない。俺達は戦争をしているんだからな。もっとまじめにやれ。



宇宙暦 799年 4月 18日  ハイネセン  最高評議会ビル ジョアン・レベロ



自由惑星同盟最高評議会は沈痛な空気に包まれていた。参加者は皆押し黙り積極的に口を開こうとしない。そしてビルの外では大勢の同盟市民が自分達の未来を案じてデモを繰り広げている。こちらはそれぞれが大声で自分達の要求を叫んでいるだろう。自分達を守れと。

「それで戦況は如何なのかな、アイランズ国防委員長」
ホアンが問い掛けるとアイランズが辛そうな表情をした。
「良くありません。軍は帝国軍の本隊をなんとか捕まえ戦闘に入りましたが劣勢です。新編成の艦隊が練度不足でどうしても動きが鈍い。帝国軍にそこを突かれているようです」
彼方此方から溜息が漏れた。

「もう直ぐフェザーン方面から帝国軍の別動隊が来るでしょう。そうなれば同盟軍は挟撃されます。勝ち目は有りません。ボロディン本部長からも形勢を逆転するのは
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