Vivid編
外伝〜if/ライのたどり着いた世界がCEであったなら(後編)〜
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強要してしまえばそれこそ無用な争いを起こします」
ここまで淀みなく言い進め、一旦言葉を切る。そして話を聞いていた二人を伺い見ると、議長は興味深そうに、そしてレイはどこか鋭い目をしていた。
左遷どころか思想犯扱いかな?とまた思いながら、その先を視線で促してくる議長の態度に応えるように再び口を開いた。
「戦争を否定するための政策を行うのであれば、それこそ戦いを引き起こす原因となりうる過激な方法を取るべきではないと自分は考えます」
「そうか……そうか――――」
どこか噛み締めるような呟きを議長は溢す。そして少しの間の沈黙を破るように議長は言葉を吐き出し始めた。
「……私には交際をしていた女性がいてね」
そう切り出した議長の目はライの方でもレイの方にも向いてはいなかった。ここではないどこかを見るようにして彼はしゃべり続ける。
「家族になりたかったその女性は子供が欲しかった。だがね、残念なことに私と彼女の間には子供ができない可能性が大きかった」
その話を聞きながら、ライはタリア艦長と議長の噂を思い出す。議長がミネルバに同乗していた頃に彼女の部屋で寝泊まりしているというものであった。
「私は身を引き、彼女は子供が望める男性と家庭を築いた。だが、私も男でね。悔しかったのだよ」
その言葉に感情が宿る。
忘れきれず、だが望んでしまえば傷付けてしまう二律背反の感情。名付けるのであれば、それは何といえばいいのであろうか、今のライにもレイにもその言葉は出てこなかった。
「彼女の隣に立っていたかった。だが、それを許さない社会。それを変えたかった。……当時、遺伝子研究をしていた私は先のデスティニープランを考えた。そして今の地位となり政策を行うようになってからは、水面下でいつでも施工できるように根回しも行ってきた」
そこでようやく議長の――――ギルバート・デュランダルという男の目がライを見据えた。
「だが、そこに君という存在が現れた」
「…………」
「君はナチュラルでありながら、我が軍でもトップの戦果をあげ、幾度かあのフリーダムにも土をつけた人間だ。だが、君よりも優れていると思われる遺伝子を持つ人間にどれだけそれが出来る人間がいる?」
「それは……」
ライが目立たずともそれなりに功績を上げることができてきたのは、単に他の人間との経験の差である。
小国どころか、一組織でしかなかった部隊で大国と言って申し分ない敵との抗争、戦争を経て、たまたま人型の機動兵器という似た分野の経験。それがあったからこそライは生き残ることが出来ていた。
ライは議長の言葉に返答しようとするが、言葉に詰まる。
何故なら説明できないからだ。それは単純にライの過去を説明できないという意味で
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