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彼に似た星空
17.私の罪
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って……比叡を沈めたのはワタシです…ごめんなさい……」

 敵の砲撃はまだ止まない。私は榛名のことを思い出し、榛名を見た。

「榛名は…榛名は?! 無事デスか?!!」

 榛名はレ級のすぐそばまで接近していた。もはや艤装が壊れ脅威ではなくなった私の分まで、榛名は今集中砲火を浴びている。

「榛名!! 逃げるネ!!」

 私の声は砲撃の轟音にかき消された。榛名はついにレ級に到達した。

「提督……」

 榛名はレ級の頭を掴み持ち上げた。そして自身の艤装の中でたった一つだけ無事残ったダズル迷彩の砲塔をレ級の腹部に密着させ、何度も何度も砲撃した。密着状態から打ち出された砲弾はレ級の腹部を破り、下半身をちぎり落とした。

 レ級の下半身が海面下に沈んだのを確認し、榛名は掴んでいた上半身を離した。その後その場に倒れ、榛名が手放したことで同じく水面下に沈んでいくレ級の上半身とともに、海に沈もうとしていた。

 私は榛名を助けようと榛名のそばに行こうとした。

「榛名!! 榛名!!!」
「お姉様……」

 敵艦隊は旗艦であるレ級を失ったことで散開し、退散していった。私たち3人のうち2人を撃沈したことで戦力を充分に削いだという判断もあったのだろうか。

 私は必死に榛名のそばに行こうとした。壊れた艤装では中々前に進むことが出来ず、また私も満身創痍で思うように身体を動かすことが出来ない。それでも私は必死に榛名のそばまできた。すでに榛名は下半身が海に呑まれた状態だった。

 榛名のそばまできた私は、榛名の手を握った。榛名の手は血まみれだった。これらはすべて榛名の血だ。今気付いたが、榛名は全身から出血していた。体中傷だらけで、海面は榛名を中心に真っ赤に染まっていた。そしてそれは、今もものすごいスピードで広がり続けている。榛名はこんな状態で、あれだけの砲撃に耐え続けたのか。

「榛名…ごめんなさい……ワタシが止めるべきデシタ…ワタシが…ッ!!」

 私は右手で榛名の手を握り、左手で榛名の艤装を支えようと砲塔を掴んだが、すでに私は手に力が入らず、榛名の砲塔は私の手をすり抜けていった。

「お姉様……」
「榛名…沈まないで下サイ…あなたまでワタシを置いて行かないで下サイ……」

 私は必死に榛名の手を引っ張ったが、それでも榛名は沈んでいく。私は榛名の顔を見た。榛名の顔は、いつもの穏やかな笑顔だった。

「お姉様……泣かないで……下さい……」

 私が掴んでない方の榛名の手が、比叡の血がついている私の顔に触れた。私の顔に、榛名の血も塗られた。

「お姉様……すみません……榛名はここまでです……」

 そう言うと、榛名は海の中奥深くに沈んでいった。

 その後、私がどうやってあの海域から戻ったのかは
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