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彼に似た星空
17.私の罪
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にその場から動かされたことで、身体が砲弾が通過するラインから離れた。砲弾は私に当たることなく、私たちのはるか背後にまで飛んでいったのが見えた。スローになっていた私の周囲が元に戻った。

「お姉様!! 金剛お姉様!!!」

 私を助けてくれたのは比叡だった。彼女は動けなくなった私に全力で体当りし、私を強引に射線上から動かしてくれたことを理解した。

「比叡!」
「ご無事ですかお姉様!!」

 ここに来て、私はやっと頭が冷静になった。今まで真っ赤だった視界に色が戻り、目に見えるものがクリアになった。やっと周囲を見渡せ、状況が見えるようになった。今、自分たちが置かれたこの状況が、いかに絶望的な状況なのかが、やっと理解できた。

「比叡……サンキューね……死ぬところデシタ……」
「いいえ!! お姉様がご無事なら……」

 直後、比叡の艤装が爆散した。私の周囲が再びスローになり、比叡の艤装が粉々に飛び散るのが、破片の一つ一つまで見えた。

「ひえ……い?」
「ゴフッ……!!」

 比叡は口からおびただしい量の血を吐き飛ばした。その血は私の顔にかかり、私の顔の半分が比叡の血で染まった。比叡はそのまま私の方に向かって倒れ、私は倒れる比叡を受け止めた。艤装はすでに足以外は吹き飛んでなくなっていた。

「お姉様……」
「比叡……ノー……」
「お逃げ下さい…お姉様……」

 急に比叡の身体が重くなった。私は比叡の足元を見た。比叡は足首まで海面に沈み始めている。

「比叡……ノー……しっかりするネ比叡! 私の妹なんだから!!」
「申し訳ありませんお姉様……ですが、比叡は……」

 比叡の身体は海の底から何者かに引きこまれているのではないかと思えるほどに重くなっていった。私は必死に比叡を支え、比叡の轟沈に抗おうとしたが、比叡が沈むのは止まらない。

 私は渾身の力で比叡を海から引きずり出そうと、もはや胸の部分まで沈んでしまった比叡の身体をひっぱるが、それでも比叡が沈むのを止めることは出来ない。もう比叡の身体を支えていられない。

「比叡!! 駄目デス比叡!! もっと頑張って下サイ!!! 持ち上げられまセン!!」

 喉元まで沈んだ比叡は私を見て微笑んだ。

「金剛お姉様……私は……」

 最後は比叡が何を言ったのか聞き取れなかった。私は沈んでいく比叡の手を掴もうとしたが、それも出来なかった。比叡は沈んだ。私を見ながら、海の中へ笑顔で沈んでいった。

「比叡…ノー……比叡……」

 比叡が沈む過程で取れたのだろうか。比叡のカチューシャがその場に浮いていた。私はそのカチューシャを手に取り、抱きしめて哭いた。

「比叡…ごめんなさい……ワタシが…ワタシが馬鹿デシタ……彼の仇を討ちたくて…頭に血が上
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