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彼に似た星空
17.私の罪
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て眺めていられるほど、私は腑抜けた女ではない。たとえ一人でも、私は奴らを殺してみせる。

 私と榛名は全速力で敵輪形陣に突撃しながら、徹甲弾による砲撃を開始した。レ級を庇った敵駆逐艦二隻に数発命中し、その二隻が沈んだ。

「テートクの仇!! ファイヤー!!!」

 続けて私は徹甲弾を撃ち続け、敵もこちらの存在に気付き砲撃を開始した。レ級たち敵艦隊は私たちに向かって、極めて正確に撃ってくる。頭上を見ると敵の偵察機が飛んでいる。どうやら観測射撃をされているようだが、そんなことは知ったことではない。要はレ級を沈め、随伴艦を沈め、その後三式弾で敵偵察機を叩き落とせばいい。すべて沈めればいい。すべて沈めてやる。すべて殺してやる。

 同じことを榛名も考えていたようだ。私達は敵の砲撃を食らってもスピードを緩めることなく、砲撃を繰り返しながらまっすぐレ級に向かって突撃していった。

 不意に、私の艤装の左側が爆発した。左舷を見た。敵艦隊は一つだけではなかった。左側にも大規模な敵艦隊がいた。敵は連合艦隊だったようだ。背後から敵艦載機も飛んできた。どうやら囲まれている。榛名もそのことに気付いたようだ。

「お姉様!!」
「囲まれたネ……でも関係ない……全部沈めマス!!!」
「ええ……榛名はまだ大丈夫です!!」

 私と榛名は、引き続き砲撃を行いながら突撃した。しかし中々レ級にこちらの砲撃が当たらない。もどかしい。葬れない。もっと近づかなければならない。

 しかし、近づこうとすればするほど……時間が経てば経つほど、周囲からの敵の砲撃は激しさを増し、私と榛名は前に進むことが難しくなってきた。私の砲塔も一つ折れ、二つ折れ、三つ折れ…すべて折れた。砲撃が不可能になり、艤装が爆発して停止した。主機から煙が上がり、突撃するスピードが鈍った。

 それでも構わなかった。なんとしてでもレ級に到達し、残った全弾を叩き込む。撃てないのなら、直接三式弾をレ級の身体に捻り込み爆散させる。レ級だけは必ず殺す。確実に殺す。必ず彼と同じ目に遇わせる。そのことだけを考え、私は身体を引きずり、それでも前進した。

 突然、周囲がスローモーションになった。

 レ級が発射した徹甲弾が、砲塔から飛び出る瞬間が見えた。その徹甲弾が、まっすぐ私の方に飛んでくるのもわかった。そして、今ゆっくりとこちらに向かって飛んでいるそれが、そのまま私の身体に命中し、私の身体を貫き、私はそのまま死ぬことがわかった。その砲弾が描く軌道のラインが、私が今いるこの場所を確実に通過しているのが瞬時に理解できた。

 『マズい』と思ったが、それが手遅れであることを私は理解していた。私は死ぬ。

「お姉様!!!」

 またしても不意だった。今度は私の身体が何者かに突き飛ばされた。強引
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