17.私の罪
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…
「お姉様、榛名はこの比叡にお任せ下さい」
「いいんデスカ?」
「はい。私も榛名の姉です。たまには姉らしくさせて下さい」
「わかったネ。じゃあ榛名を頼みマス」
「了解ですお姉様。さ、榛名……」
「はい……」
比叡に促され、この場から離れていく榛名を追う球磨の目には、罪悪感が浮かんでいた。
「こんな時に申し訳ないクマ」
「……五月雨はどうしまシタカ?」
「五月雨にはキソーがついてるから心配いらないクマ。それよりも、誰かにこのことを隣町の鎮守府に知らせに行ってほしいクマ。誰がいいと思うクマ?」
確かに、球磨の提案は正しい。私たちの本拠地である鎮守府を短時間で壊滅させたほどの戦力を持つ敵艦隊の存在を、他の鎮守府に知らせないのは危険だ。そして、今この鎮守府には、他の鎮守府と通信を行える機能が失われている。ということは、誰かが直接他の鎮守府に向かい、このことを伝える以外に方法はない。
ただ問題がある。伊勢が放った瑞雲による索敵の結果がまだ分からない。鎮守府を襲撃した艦隊は、まだこの周囲にいるかもしれない。もし、この危機を知らせに出発した艦娘がその艦隊と鉢合わせにでもなったら…もしくは、他の鎮守府に知らせるべく出撃する艦娘たちを、敵艦隊が海上で待ち構えていたら……
「球磨、瑞雲が戻ってきたよ」
「おお伊勢、ご苦労だクマ。それでどうだったクマ?」
「ここから西に5キロほど行ったところに小島があるんだけど、そこに敵艦隊が隠れているのを発見したって」
伊勢のこのセリフを聞いた瞬間、私は確かに自身の頭の血管が切れた音が聞こえ、視界が真っ赤に染まった。
「行きマス」
「駄目クマ。金剛は中破してるクマ。行くのは無傷の子クマ」
球磨の静止は私の耳に届くことはなかった。補給なら先ほど済ませた。確かに私は中破状態で万全とは言えないが、この鎮守府をここまで破壊し、私から彼を奪った憎むべき相手に対して、いつまでも存在を許しておくほど私は甘くはない。
そして榛名も同じことを考えていたようだ。榛名も眼の色もまた真っ赤に変わった。私と榛名は身体に艤装を装着し、港に向かった。
「金剛やめるクマ!」
「やめまセン。止めないで下サイ。ワタシはテートクの仇討ちに行きマス」
「バッ…やめるクマ!! 相手は鎮守府をここまで破壊した艦隊クマ! 無謀クマ!!」
「榛名も行きます。提督の仇を取ります」
「オーケー榛名。一緒に行くネ」
「榛名もバカなマネはやめるクマ!!」
「バカなマネとは何ですか? 提督を殺されて黙ってられるほど、榛名はおとなしくありません」
「そうじゃないクマ! 二人共頭を冷やすクマ!!」
私と榛名は球磨の制止を無視し、港に出た。もし、私たちを無理にでも制止する子がいれば、私は
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