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彼に似た星空
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失策だ。予想出来なかったという言い訳が通用するレベルの損害ではない。しかも私たちにこれだけの損害を出しておきながら、敵艦隊はほぼ無傷。これはどうひっくり返っても、今の私たちが勝てる相手ではない。

「お姉様…どうしますか……?」
「旗艦は青葉ですけど、いざというときは金剛さんに指示をあおげと提督から言われています」

 皆が一斉に私を見た。答えは決まっている。

「撤退シマス。この段階でワタシたちは敵に攻撃すら出来てないネ。これでは勝つことなんて出来ないデス」
「ですね」
「榛名が先導をお願いネ!」
「了解ですお姉様!」

 榛名が全速力で戦線から離脱した。中破状態ゆえ、そこまでのスピードが出ることはないが、ここから離脱する分には充分なスピードといえる。次に私は、鈴谷を見た。

「鈴谷、瑞雲はまだ残ってマスか?」
「あと1機だけなら」
「なら、榛名の後について、先にここから離脱するネ! そしてここから離れたら、瑞雲を発艦させて周囲の索敵をお願いシマース!!」
「分かった!」

 鈴谷は頷き、榛名の後をついて離脱した。残るは4人。

「青葉は比叡が連れて行ってあげるネ! 大破状態だとそこまでスピードは出せないデス!」
「すみません金剛さん比叡さん……」
「そんなに謝らなくていいんだよ青葉…お姉様と霧島は?」
「ワタシは三式弾を持ってマスから、それを撃ちまくって敵の直掩機と艦載機を叩き落としマス!!」
「徹甲弾を持ってる私は、逃げながらの砲撃で敵を牽制すればいいんですね金剛お姉様」
「さすが艦隊の頭脳・霧島ネー」
「お任せ下さい」
「わかりました。金剛お姉様、霧島、ご武運を」
「すみません。金剛さん。後はおねがいします」

 そこまで言うと、比叡は青葉を連れてこの海域を離脱していった。後に残されたのは霧島と私。

「霧島…いちばん大変な役目をお願いするネ……」
「金剛お姉様こそ、敵艦載機の排除は大変ですよ?」
「大丈夫デス。私は昨日、テートクから指輪をもらいマシタ」

 私は左手の薬指にある、指輪の感触を確かめた。この指輪が、この、私と提督をつなぐ証が、私に無限の力を与えてくれる。この指輪さえあれば、私は彼の元に帰ることが出来る。そう思えたゆえの、この人員配置だった。

 フと、私たちの頭上を敵艦載機が通過していった。恐らくは、先ほど戦線を離脱した4人を追う算段なのだろう。しかし私がそれを許すはずがない。私は速やかに三式弾を撃ち、その数機の敵艦載機をすべて撃ち落とした。

「お見事ですお姉様」
「あの四人の元へは一機も艦載機は向かわせないヨー」
「では私も……この霧島、今だけは頭脳ではなく力で圧倒します!!!」
「オーケイ!! じゃあパーティーを始めるネ!!!」

 私は
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