十一話:心
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らしくなるな」
「リイン…フォース? 怒っているのかい?」
ここに来てリインフォースが怒りを表していることに気づき戸惑う切嗣。
怒りを抱くということは自分自身に関心を持ち、人生に喜びを感じ。
そしてそれを損なう出来事が起こったことに他ならないと切嗣は理解していた。
だが、その損なう出来事がなんであるかが理解できずに困惑しているのだ。
「私にも理解できない感情がお前によって傷つけられた。それ故に私は怒りを抱いているのだろう」
「そうなのか……」
「そして、この傷つけられた感情こそが私の幸せに繋がるのではないかとも感じている」
今の今まで怒りなど見せたことのない彼女の怒りに若干驚いていた切嗣だがそれを聞くと笑顔を浮かべる。
彼女が人としての幸せを見つけたのなら、それは喜ばしいことだ。
「そうか、それならもうすぐ君をはやて達の元に帰せそうだ」
「……ッ」
笑顔で告げられたその言葉にリインフォースの胸がチクリと痛む。
同時にもやもやとした感情が胸を占めていく。
彼女はそれに耐え切れなくなり、切嗣に背を向けて歩き出す。
「リインフォース? リインフォース! 一人で行くな、危険だ!」
後ろから慌てて切嗣が追ってくる気配がする。
その動揺に少しばかり胸が軽くなったように感じ彼女はクスリと笑う。
そして、彼が隣に立った時に今まで感じられていた苛立ちがスッと消えたことに気づく。
「何をしているんだ。いくら守ろうにも君が傍にいないんじゃ守りようがないだろう」
「ふふふ。なら、お前は常に私の隣にいればいい」
「……急にご機嫌になったね」
「さてね。私にもさっぱりだよ」
困惑したようにこちらの表情を窺う切嗣にまたしてもリインフォースは笑う。
その様子に考えても無駄だと悟り、切嗣はため息をつき彼女の肩に手を置く。
するとトクンと小さくリインフォースの胸が跳ねる。
「いいから、帰ろう。この世界は危険だ」
「ああ……そうだな」
その言葉に頷き、同時に不思議なことにリインフォースは首を傾げる。
切嗣に触れられた肩がやけに熱く感じられるのは一体どうしてなのだろうかと。
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