十一話:心
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険に陥れる真似をするのは自衛の観点から見れば最低だということぐらい分かるだろう。君だって死にたくないはずだ」
傍から見れば戦場に、しかも激戦区に単身で身を放り込む自滅的な行動原理。
それを行う男が逃げることこそが最善だと言うのは余りにも滑稽であった。
しかし、切嗣はそのおかしさに目を背け、彼女を遠ざけるためだけに一心に言葉を紡ぐ。
だが、彼女は口先三寸であっさりと意見を翻すような女性ではない。
「確かに、死にたくはないな。だが、私は知っている。例えこの身が亡びるのだとしても貫きたい想いがあることを」
真っすぐに、心の底を見透かすように切嗣を見つめるリインフォース。
その余りの純粋さに、自身の汚れた部分が照らし出されるようで目を落とす切嗣。
しかしながら、ここで引いてしまえばもう押し返せないだろうと感じ、気持ちを入れなおして目を合わせる。
「それは君がデバイスだった時だからだろう。今の君にそうまでして貫き通したい使命があるか? 生きることに喜びと誇りを見出しているのならこんなくだらないことは即刻止めるべきだ」
命はとんでもなく安いものだと衛宮切嗣は知っている。
世界によれば先進世界の子どものお小遣い程度の値段で買えてしまう程に。
ちょっと痛めつけてやれば風に吹かれた蝋燭のように消えてしまうことも。
だが、しかし。如何に安くとも死んでしまえばそれで終わりだ。
たった一つしかない。だからこそ、光り輝いている。
そんな命を、ろくでなしに会いに来るためだけに危険にさらすなど言語道断だ。
「そうでもないだろう。お前が見せてくれた映画や小説の中にもいたぞ。家族に会いに行くために己の命をかける者はな」
「……それは創作だろう」
「いいや、現に私はこうして命を危機に晒しながらもお前の元にたどり着いた。そのことで確かな喜びを感じ取れている」
悪びれることもなく話すリインフォースに切嗣は頭を抱える。
それに、何よりも彼の頭を痛めさせているのは彼女が切嗣を家族と言ったことだ。
彼の方も心の奥底では今でも家族だと思っている。
しかし、これから未来を生きていかなければならない彼女達には衛宮切嗣は足枷でしかない。
故に彼は彼女と家族であることを認めようとはしないのだ。
「ハッキリと言っておこうか。僕は君の家族にはなれない。君の家族ははやてと騎士達だけだ」
「なぜ、そうも否定する。確かに私達に血の繋がりはない。だが、かつてのお前自身が血の繋がりよりも強い絆を主との間に築いていたはずだ」
「あれは……紛い物だよ。人殺しが本当の意味で絆を作れるはずがない」
リインフォースの言葉に耐え切れずに血を吐くように嘘をつこうとする切嗣。
しかしながら、彼女にそ
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